宣言解除でも安倍首相への不信感が消えない訳 内閣支持率急落、安倍チルドレンから批判も
終わりが見えないコロナ禍に国民があえぐ中、安倍晋三首相は5月25日、緊急事態宣言を解除した。期限を繰り上げての政治決断だが、政府のコロナ対策への批判や東京高検の黒川弘務・前検事長が賭けマージャンで辞職したことを受け、内閣支持率急落による政権危機をしのぐための、「得意の逃げ恥作戦」(自民長老)も見え隠れする。
25日の記者会見で安倍首相は、「わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。日本モデルは世界の模範だ」などと高揚した表情で自画自賛した。欧米諸国とは対照的に、強制措置なしで感染爆発阻止に成功したことで、安倍首相が持論とする「政治は結果」をアピールした格好だ。
感染収束は「見せかけ」なのか
政府との行き違いも目立った小池百合子東京都知事や吉村洋文大阪府知事も、宣言解除を歓迎して業態別の自粛解除に踏み出した。人影が絶え、閑古鳥が鳴いていた首都圏の繁華街では、久しぶりの外出解禁に「解放感がまったく違う」との市民の声があふれ、ネット上ではハッシュタグ「#安倍総理お疲れ様です」がトレンド上位入りした。まさに安倍首相の思惑どおりの展開ともみえる。
G7諸国と比べて、日本の感染者数・死亡者数は桁違いに低いのは事実だ。グテーレス国連事務総長やテドロス世界保健機関(WHO)事務局長も、日本の対応を高く評価している。
ただ、日本モデルの成果を冷静に分析する有識者は「西太平洋地域では劣等生」と指摘する。アジア・オセアニア主要国での人口100万人当たりの死亡者数や感染制圧までの期間などをみると、日本は最下位グループだからだ。
ほぼ完璧な感染対策で世界に名をとどろかせた台湾では、安倍首相の会見についてネット上に「収束させたのはただの見せかけ」などの厳しい書き込みが目立った。日本国内でも「国民が自粛を頑張ったからだ」など安倍首相の自賛を冷笑する投稿があふれている。
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