宣言解除でも安倍首相への不信感が消えない訳 内閣支持率急落、安倍チルドレンから批判も
欧米では「奇跡」とも呼ばれる日本モデルも、大きな第2波が襲来すれば、一気に評価を失う。すでに、自粛要請を先行解除した一部自治体では、新たな感染拡大の兆しが出ている。このため各自治体からは「解除ありきの危うさは大きい」(有力知事)との声が相次ぐ。
安倍首相を取り巻く政治的環境も深刻だ。「アベノマスク」に象徴される首相決断への国民の不信感は、宣言解除でも簡単に消えそうもない。安倍首相が意気込む「9月入学」は、現場の反発を懸念した与党内の反対論拡大で失速した。
安倍首相が強い期待を示した治療薬・アビガンの月内承認も見送られ、「今回ばかりは、得意の『やってる感作戦』が次々裏目となっている」(閣僚経験者)のは否定できない。
黒川氏の訓告処分へ不満爆発
そうした中、「官邸の守護神」と呼ばれていた黒川氏の辞職直後の世論調査で内閣支持率が急落し、首相サイドに衝撃を与えた。追い打ちとなったのが、黒川氏の「大甘訓告処分」への国民的不満の爆発だ。
政府は情報把握からわずか数日で、黒川氏の辞職と訓告処分を決めて事態収拾を狙った。しかし、検察のナンバー2だった黒川氏が、こともあろうに緊急事態宣言下に大手紙記者と密室賭けマージャンを繰り返していたことは、「官僚どころか、人間としての常識すら疑われる」(共産党幹部)事態だ。
刑法では「マージャンで金銭を賭ければ賭博罪」。それをなれ合いのような身内の調査で懲戒処分ではなく訓告処分としたことに、国民の怒りが爆発したのだ。
処分を下した経緯も、安倍首相は「処分は内閣の責任」としながら、「法務省と検事総長の決定を了承した」と法務検察当局に責任を転嫁。これに対し、稲田伸夫検事総長は「懲戒処分ではなかったのかと思った」と述べて、官邸から訓告処分を指示されたことを示唆するなど、混乱は広がるばかりだ。
官邸と法務検察当局のつなぎ役となるべき森雅子法相は、訓告処分をめぐる発言の修正としどろもどろの答弁を繰り返して、国民の不信を拡大させている。
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