小金持ちはなぜ「お金」を"正しく"使えないのか

誰もが持つ「心の会計」との上手な付き合い方

多くの人がお金を"正しく"使えていないというイギリスの心理学者の指摘。その理由とは?(写真:NOV/PIXTA)
コロナ禍の中、「マスクはいずれ供給が追いつき、価格が下がる」という情報が流れてもなお、高額でもマスクを購入する人が多く見受けられた。案の定、価格は落ち着き、目の前には高額で買ってしまったマスクの山が残ってしまったという話もよく耳にする。
なぜ人は、このような結果的に損な行動をしてしまうのか。人間は誰でも得をしたいと思うものだが、それ以上に損をしないことに一生懸命になる生き物だからだという。
その理由について、イギリスの人気心理学者クラウディア・ハモンド氏の著書『MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実』から、いくつかの思考実験とともに解説したい。

損か得かは相対的な思考で決まる

あなたは今、休暇で海辺に来ているとする。そして、自転車を借りて、海沿いをサイクリングしようと思い立った。

遊歩道をぶらぶら歩いて、レンタル料金を見て回ると、まず見つかった店の賃料は1日3500円程度だった。だが、別の店の看板が目に入り、そこは1日たったの1500円程度で貸すという。その店まで歩いて10分かかる。とはいえ、賃料にここまで差があるなら、安いほうの自転車を見ておいて損はないだろう。

借りた自転車が、ペダルをこいでいるうちに分解しそうな代物だったら話は別だが、後で見つけた店で借りれば2000円程度もお得。差額分で明日また同じ店で借りてもいいし、浮いたお金でカフェランチなんていうのもよさそうだ。

後日、休暇も終わり、今度は自動車を買いに行くことになったとしよう。最初に入ったショールームで気に入った1台が150万1500円程度だった。値段に納得したくて、10分歩いて別のショールームに入った。似たり寄ったりの1台が150万3500円程度(こんな半端な値段がつくわけないと思われるだろうが、これがテストの狙いなのでご容赦願いたい)。

ここで、あなたは2000円を惜しんで、最初の店に戻ろうと思うだろうか。まず思わないだろう。金額がここまで大きくなると、1000円や2000円の違いはどうでもよくなる。だが、得する金額は、貸自転車のケースとまったく同じだ。自転車を借りるときは2000円も得をしてホクホクだった。しかし、車を買うときはたかが2000円と鼻であしらう。

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