小金持ちはなぜ「お金」を"正しく"使えないのか 誰もが持つ「心の会計」との上手な付き合い方
損か得かは相対的な思考で決まる
あなたは今、休暇で海辺に来ているとする。そして、自転車を借りて、海沿いをサイクリングしようと思い立った。
遊歩道をぶらぶら歩いて、レンタル料金を見て回ると、まず見つかった店の賃料は1日3500円程度だった。だが、別の店の看板が目に入り、そこは1日たったの1500円程度で貸すという。その店まで歩いて10分かかる。とはいえ、賃料にここまで差があるなら、安いほうの自転車を見ておいて損はないだろう。
借りた自転車が、ペダルをこいでいるうちに分解しそうな代物だったら話は別だが、後で見つけた店で借りれば2000円程度もお得。差額分で明日また同じ店で借りてもいいし、浮いたお金でカフェランチなんていうのもよさそうだ。
後日、休暇も終わり、今度は自動車を買いに行くことになったとしよう。最初に入ったショールームで気に入った1台が150万1500円程度だった。値段に納得したくて、10分歩いて別のショールームに入った。似たり寄ったりの1台が150万3500円程度(こんな半端な値段がつくわけないと思われるだろうが、これがテストの狙いなのでご容赦願いたい)。
ここで、あなたは2000円を惜しんで、最初の店に戻ろうと思うだろうか。まず思わないだろう。金額がここまで大きくなると、1000円や2000円の違いはどうでもよくなる。だが、得する金額は、貸自転車のケースとまったく同じだ。自転車を借りるときは2000円も得をしてホクホクだった。しかし、車を買うときはたかが2000円と鼻であしらう。