質問者の方は「国内のファイナンスで有名な社会人MBA」を取ることを考えているそうですが、ほかの人はわかりませんが、筆者は実務経験がなければ学部卒と同じ評価をします。また、弁護士資格も投資実務の経験があれば評価しますが、弁護士資格だけでは、教育を受けていないただの新人弁護士と同様の評価です。弁護士でストラクチャリングの経験があれば、ワインと資本のストラクチャーが大好きなPEが雇ってくれます。筆者であればこうした箔付けよりも、事業への洞察力、正確なモデリング力を見ます。
MBAに行かずともまずは、DealbookやCrunchBaseを読みつつ、『MBAバリュエーション』『数字で考える技術 ビジネスモデリング入門』『外資系金融のExcel作成術』『金融モデル実用の基礎』を読みましょう。世の中にはEXCELというものがあるらしく、とても便利です。外資系に行きたいなら『Principles of Finance With Excel』で十分です。数学コンプレックスがあるのなら『数学ガール』でも読みましょう。筆者の算数力も小学生レベルですが、特に投資業務には困っていません。食塩水の計算ができれば、株式の希薄化の計算にも対応可能です。
数字を語るか、ゴルフに行くか、人生を語るか
質問者の方は、まずは自分のポケットマネーで投資アイデアを実行してみてはいかがでしょうか? マクロの投資アイデアがあればETFで先進国、新興国、株式、債券、何でもトラックできますし、未公開株なら伸びると思うベンチャー企業にエンジェル投資してもいいでしょう。筆者は仕事柄、いつでも投資アイデアを受け付けていますが、「あなたなら投資するの?」と聞くようにしています。
質問者の方が金融機関にいながら、なぜPE/VCを志望するのかはわかりませんが、上場株式や債券を相手にするヘッジファンドと違って、PE/VCは人間が相手になってきます。「人間相手は面倒くさい」といってヘッジファンドに行った同僚もいました。PE/VCはシニアレベルになればなるほど、斬新な投資アイデアと人間力が勝負になってきます。
現在のVCの投資環境は東京でもシリコンバレーでもおカネは余っており、おカネよりも投資家の知見こそが経営者の欲しいバリューとなっています。投資先企業の経営者や既存株主に対し、数字を語るのか、ゴルフに行くのか、人生を語るのか、それはスタイルの違いです。ただPE/VCの世界は極めて閉じられたインサイダーたちの世界であり、そこで成功したいのであれば、数学をやり直していないで、今すぐその世界に入っておカネを賭けるべきです。
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