5月6日午前0時、中国全土の有料道路で通行料金の徴収が再開された。新型コロナウイルス対策の一環として円滑な物流を支援するため2月17日から続いていた有料道路の無料化措置が、いよいよ終了したのだ。
通行料金の徴収再開は「コロナ後」の経済・社会の正常化に向けたステップのひとつだ。とはいえ物流業界にとっては輸送コストの大幅アップを意味する。そんななか、トラック輸送への依存度が高い業種に無視できない影響が表れている。
典型的なのが石炭だ。石炭業界専門の情報サービス会社、汾渭能源のアナリストの曽浩氏によれば、無料化措置の終了で石炭のトラック輸送のコストは約25%上昇した。一方、石炭相場の下落が続いているため炭鉱主は運賃値上げの受け入れに消極的だ。このためトラック・ドライバーが引き受けを渋り、様子見を決め込むケースが各地で相次いでいるという(訳注:中国の石炭輸送トラックは物流企業に属さない個人経営が多く、運賃はドライバーと荷主の交渉で決まる)。
運び手不在で操業停止に追い込まれる炭鉱も
内モンゴル自治区の炭鉱業界に詳しい関係者によれば、石炭を運んでくれるトラックがないため操業の一時停止に追い込まれた炭鉱もある。「炭鉱側が杭口価格を下げるとともに、需要家側も買い入れ価格をいくぶん上げなければ輸送コストの上昇を吸収できない」と、この関係者は指摘する。
別の関係者は、内モンゴル自治区や陝西省の複数の炭鉱がすでに杭口価格を調整したと話す。陝西省の楡林石炭取引センターのデータによれば、5月6日以降、同省北部の26の炭鉱が坑口価格を1トン当たり5~50元(約76~760円)引き下げた。値下げ幅は最大10%を超える。
問題は需要家側の反応だが、前出の曽浩氏は、有料道路の無料化終了の影響は比較的短期間で収まると予想する。「一部の輸送ルートですでに運賃値上げの受け入れが始まっている。需要家側の石炭の買い入れ価格は、下落のペースがいくぶん緩やかになるだろう」。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は5月8日
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