新型コロナウイルスの感染拡大で公共交通機関の利用を避ける動きが定着する中、中古車買い取り店大手「ガリバー」を展開するIDOMが手がける車のサブスクリプション(定額制利用)サービス「NOREL(ノレル)」に追い風が吹いている。
「通常の問い合わせ件数は月間で数百件程度だが、4月にはその5倍になった。社内の別部署から応援をもらってなんとか対応しているくらいです」。IDOMのノレル事業部、山畑直樹・事業責任者はうれしい悲鳴を上げる。
医療関係者らの利用が急増
ノレルは「ガリバー」が持つ中古車の在庫から定額制で一定期間貸し出すサービスで、2016年からスタートした。通常プランは最短90日の条件で月額5万9800円(税別)から利用でき、90日経てばほかの車種に乗り換えることも可能だ。2018年10月からはドイツの高級車BMWとMINIの新車に乗れるプランも追加した。
新型コロナの感染拡大以降、とくに反響が大きいのが、初回利用者を対象にして最短30日間で利用できるプラン「マイカー・トライアル」だ。今年2月から始めた新サービスで、年式が比較的古い軽自動車やコンパクトカーでは月額2万9800円(税別)から利用できる。
マイカー・トライアル自体は新型コロナとは関係なく、昨年夏ごろから構想を練ってきた。ところが、感染拡大が収束するまでの短期間に、密閉・密集・密接の「3密」を避けるための一時的な移動手段として利用したい人のニーズにはまった。会員数は3月、4月とも増加を続けており、4月には過去最高の売り上げを記録した。
3~4月にノレル申込者の利用目的を調査したところ、2割程度が「新型コロナへの感染を避けて、安全に移動したいため」と回答。また、新規契約者の4割を看護師などの医療関係者が占めており、いわゆる「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる職種の人の移動手段の1つとして重宝されているようだ。ほかにも、会社への通勤や病院への通院などに使われる事例が多く見られるという。
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