「中古車サブスク」はコロナ特需を生かせるか ガリバーの「NOREL」通常時の5倍の問い合わせ

✎ 1〜 ✎ 77 ✎ 78 ✎ 79 ✎ 最新
拡大
縮小

車の利用方法をめぐっては、車を所有することにこだわらない人が増えており、カーシェアや相乗りのライドシェアなど「所有から利用」の流れが世界的に加速している。

特に人口減少が進む国内の新車・中古車市場は今後大きな伸びは見込めない。中古車を買い取って自社店舗での小売りやオークションへの卸売りなどで稼ぐIDOMの現状のビジネスモデルにも逆風だ。IDOMにとって新たな利益機会を創出することは急務になっている。

IDOMが展開する郊外型の大型店「WOW!TOWN」。現状では中古車買い取り・販売が売り上げの大半を占めるが、新規事業の開拓も急務だ(編集部撮影)

ただ、車のサブスクは国内での認知度がまだ低く、ノレルの会員数は2020年4月末時点で約3万2000人。パーク24のカーシェア会員数は137万人(2020年3月末時点)とケタ違いだ。

ノレルと個人間カーシェアサービス「GO2GO」を合わせたIDOMの新規事業の年間売上高は4億6000万円(2020年2月期)。会社全体の年間売上高3616億円のわずか0.1%程度にすぎず、収益貢献していくレベルには程遠い。

トヨタ、ホンダのサブスクとの違い

車のサブスクには、国内でトヨタ自動車が2019年から新車で、ホンダが2020年1月から中古車で参入した。トヨタのサブスク「KINTO(キント)」は豊富な資金力を背景にテレビCMを積極的に投入。ホンダは自社の中古車を活用することで最短期間1カ月の月額2万9800円(税込み)に抑えたプランを実現するなど、競争も始まっている

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

新車サブスクでは収益化のために利用期間を長くする必要がある(KINTOは3年)。一方、車両残価が下がった車を使用する中古車サブスクは、短いスパンで利用でき、利用料金も安く抑えることができる。加えてノレルは、高級輸入車から軽自動車までメーカーを問わず幅広く扱うのが、トヨタやホンダとの最大の違いであり、強みだ。

ノレルはそうした特徴を武器に、コロナ特需で獲得した顧客をいかにつなぎ留められるかが、今後の成長を左右しそうだ。

岸本 桂司 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT