ところが、2日目の夜も、晶司は1人で布団に入り、さっさと寝てしまった。
2晩過ごしたのに何もしてこないことに違和感を覚え、旅行から帰って、晶司に聞いた。
「私って、そんなに女としての魅力がないのかな」
「なんでエッチをしないの?」とは聞けなかったので、こんな聞き方をした。
「えっ? 何? どういうこと」
晶司はキョトンとしていて、質問の真意をわかっていないようだった。そこで、真由美は言い方を変えた。
「私は、この年齢だから子どもを授かるかどうかわからないけど、最後のチャンスにチャレンジはしたいの。子どもを作るって、どういうことをするかわかるよね」
すると、晶司が言った。
「僕は47歳だし、そういうことは望んでいないよ」
「えっ?」
耳を疑う真由美に、晶司は続けた。
「もうこの年なんでそういう欲求もないし。真由美ちゃんと一緒にいて、おいしいものを食べたりきれいな景色を見たりして、毎日を楽しく暮らせればいいと思ってるんだけど」
結婚を決める前にきちんと話し合うべき
真由美は晶司と結婚をして、未経験のまま一生を終えるのは、あまりにも自分が不幸だと思った。
「私に恋愛経験がなさすぎて、お付き合いしているときにまったくそういう話をしなかった。女からそんな話をするのって、はしたないじゃないですか。世の中にはそういう欲求がない人もいるんですか?」
これは、真由美のケースだけではなく、パートナーが性的関係を持とうとしないので、婚約破棄になったカップルの話は、たまに聞く。もともと性欲のない人なのか、歳を取って性欲が衰えたのか、人はそれぞれ体のつくりも違うし性欲の強さも違うので、その理由は定かではないのだが。
しかし、結婚を決める前に、恥ずかしがらずにパートナーとそうした話はしたほうがいい。セックスをすることは、結婚生活にとって大切なコミュニケーションの1つなのだから。
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