結婚をあれこれ指図、嫁にダメ出しをする親
結婚相談所は恋人を探す所ではない。結婚を目的とした男女が出会う場所だ。結婚を決めるまでの数カ月間に、急速に価値観や気持ちのすり合わせをしていく。気持ちを重ねた後に結婚を決めていく生活圏内での出会いとは、そこが大きく違うところだ。
いったんは婚約し、結婚に向けての具体的な話が進んでいくうちに、気持ちが大きくすれ違っていくカップルがいる。すれ違う原因を見てみると、大きく4つある。子どもに過干渉な親がいること、住む場所の問題、お金に対する価値観の違い、夫婦間のセックスの問題だ。
一昨年の12月のこと、斉藤美和(仮名、34歳)は、石野太蔵(仮名、40歳)からプロポーズをされ、成婚退会した。年末になって、2人で私の事務所にあいさつに来てくれた。すでに両家の顔合わせも結納も済ませたとのことだった。
「結婚式は、いつ挙げるの?」と私が聞くと、太蔵が言った。
「3月に予定しています」
すると、それまで満面の笑みをたたえていた美和の顔が少し曇り、こう言った。
「3月だと準備する期間もないし、もう少し後でもいいと思うんですけど……」
この美和の言葉をさえぎるように、太蔵が続けた。
「私が4月に部署移動するので、そのタイミングがいいんです」
役職が上がる栄転のようだった。このときは、この会話が大きな破局を生むとは思わず、私は聞き流していた。
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