W杯本番への教訓
2つ目は、冒頭でも書いたように、「一喜一憂しない大切さ」だ。
試合後に冷静になって考えると、本田がなぜ『sky』のインタビューを断ったのか、その真意がわかるような気がした。
取材を受ければ、当然、質問とともに祝福を受ける。面と向かって繰り返し褒められたら、いくら強靭なメンタルを持っていても、気の緩みは生じてしまうだろう。そうなるとせっかく生じた上昇気流が、乱気流になりかねない。
先日のコラムで書いたように、本田は「試合が終わった瞬間、次の試合への準備が始まっている」と考えている選手だ。言い換えれば、いい結果が出た日ほど、気を引き締めるべきということだ。
昨年11月のベルギー遠征後(日本はオランダに2対2で引き分け、ベルギーに3対2で勝利した)、本田はこう語った。
「勝ったときというのは、よかった点に目を向けるのではなく、悪かったところに意識を向けなけないと。そういうときこそもっと徹底的に、今後、懸念される材料をしっかり洗い出さないといけない。負けた後に楽観的になるのは全然OKなんですけどね」
これをW杯に当てはめるなら、たとえグループリーグ初戦で勝ったとしても、ポーカーフェースを崩してはいけない。小さな成功で喜んでいたら、大きな成功など成しえないのだ。
本田的志向でジェノア戦のプレーを振り返れば、まだまだボールを失う回数が多いし、味方とイメージが合わない場面がある。何より、まだ背番号10として君臨しているとは言えない。
W杯が迫ったとしても、本田はミランにおいて失敗を恐れず、どんどん変化するはず――。個人的にはそう予想しているし、そう期待している。ミランで身に付けた新たな武器が、きっとW杯で役に立つはずだから。
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