「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱

感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく

「城北労働・福祉センター」付近を根城にする70代のホームレスの男性もその1人。グレーのダウンコート、数日前の新聞紙や衣服などを詰め込んだビニール製の大きなバッグ。前夜はブルーシートにくるまって寒さをしのいだという。

「コロナで『輪番』を止めるなら、その分で2000円くらい俺らに払ってくれたっていいじゃねぇか。何も7000円くれと言ってるわけじゃねぇ。ひでぇもんだ」

路上生活者を支援する山谷労働者福祉会館活動委員会の向井宏一郎さんは「ただでさえ減り続ける『輪番』の中止は、ホームレスにとって文字通り死活問題です」と憤る。

横浜・寿町はどうか。

日雇い労働者向け求人は、山谷に輪をかけて厳しい。寿日雇労働者組合の近藤昇さんによると、寿町にある日雇い専門のハローワークに求人が出たのは昨年末の2、3件が最後。「今年に入ってからは一件もないはずです」と言う。

ボランティアとして、寿町でドヤの住人やホームレスへの医療支援などを行う看護師の森英夫さんは、こう話した。

「例年なら、春先は花見会場の清掃など現金収入につながる仕事があったのですが、コロナで今年はダメだったはず。ホームレスの人たちに残された仕事はアルミ缶の回収くらい。高齢者にはきつい作業です」

ボランティア看護師の森英夫さん(撮影:本間誠也)

「ドヤ」の住人、山谷で3800人

東京都の資料などによると、南千住駅に近い山谷地区(台東・荒川区)の簡易宿泊所で暮らす人は2018年末現在、約3800人を数える。そのうち、日雇い労働者は約150人ほどだ。生活保護受給者は90%近くを占め、その平均年齢は67.2歳になる。高度経済成長を支えた労働者は去り、残った人たちは高齢化。かつての「労働者のまち」は「福祉のまち」に姿を変えてきた。ホームレスも約160人おり、60歳以上が約120人。ホームレス歴が3年を超える人も約110人に上るという。

山谷地区を含む城北旅館組合の広報担当で、「エコノミーホテル ほていや」の帰山哲男さんは、山谷地区で営業する組合加盟の宿泊施設は「現在約130軒」と言う。「ほていや」のように国内外の観光客やビジネス客を主な対象にする1泊3000円前後の施設は約30軒。「残る100軒前後が元労働者の生活保護受給者らを主な対象にした1泊1700~2250円の簡易宿泊所です」と説明する。

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