「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱 感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく

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同委員会の向井さんは「コロナによって山谷の人たちが食べること、生きることが困難な状況が生まれています。(炊き出しでの)行列は間隔を空けてもらうことを呼び掛けています」と言う。

炊き出し。横浜・寿町(撮影:本間誠也)

寿町でも炊き出しは続いている。

寿日雇労働者組合や地元自治会などで組織する「寿炊き出しの会」が、毎週金曜の午後1時からの食事提供を切らさない。晴天に恵まれた4月24日は開始の1時間前から、寿公園を囲むように長い列ができた。200人近い人たちが雑炊をおかわりし、袋に入ったバナナなどを持ち帰った。

「最近は初めて見る人も増えています」

寿日雇労働者組合の近藤さんは言う。

「派遣切りに遭ったのか、最近は初めて見る人も増えています。炊き出しへの批判的な声も聞こえてきますが、これだけの人が求めている。本来なら行政が担うべきことです」

近藤昇さん(撮影:本間誠也)

伊勢佐木町の地下街入り口の階段付近で野宿している「70歳」の元土木工の男性は「寿町の炊き出しもありがたいし、伊勢佐木町でも夜寝ているとボランティアの人たちが週に何度か、パックに入った食事を差し入れしてくれる。無一文に近いから、ほんとうにありがたい」と手を合わせた。

山谷、寿町では幸い、これまで感染者は出ていない。

山谷で支援活動を続けるボランティア団体幹部は「ドヤの住人の多くは決して健康状態が良好とはいえません。しかも大半が高齢者。『感染者が出たら』と思うと、平然としてはいられません」と不安を隠さない。

寿炊き出しの会のメンバーで、会場の一角で血圧を測定したり、健康相談に応じたりしていた看護師の森さんはこう言った。

「寿町は高齢者が多く人が密集しているので、ひとたび感染が広がれば大変なことになる。個室で過ごしてほしいのですが、三畳一間にじっとしていたら、そのほうが具合が悪くなりそう。今はただ、感染者が出ないことを願うのみです」

本間 誠也 フリー記者

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ほんま せいや / Seiya Honma

北海道新聞記者を経て、フリー記者。

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