この中年男性は1月25日に発熱し、体温は最高38.1度だった。自分で解熱剤と抗ウイルス薬、漢方薬などを服用し、1週間後には体温が正常に戻った。だが、2月7日に親族が新型肺炎だと診断されたため、翌日に病院で核酸検査を受けた。
合計9回の核酸検査の結果は3月11日に陰性となった以外はすべて陽性だった。2月20日と3月14日には抗体検査も実施。結果はIgG(訳注:血液中に最も多く含まれる抗体で、液性免疫の主役)が陽性、IgM(訳注:細菌やウイルスに感染した際、最初に作られる抗体)は陰性だった。
回復患者の血漿で治療、翌日すぐ陰性
ヒトが新型コロナに感染する過程では、まずIgMが出現するが存在する時間は短い。その後IgGが出現し、比較的長い時間存在する。IgGが陽性、IgMが陰性ということは、この患者は感染から一定期間が過ぎており、急性期(訳注:症状が急に現れる時期)ではないことを意味しているという。
3月15日、この患者は新型コロナから回復した患者の血漿を用いた治療を受けた。4時間後に発熱し、体温は38.9度まで上昇したが、医師は輸血による反応だと判断。翌日に体温は下がり、同16日と17日の核酸検査では陰性となった。
「もし血漿治療を行わなかったら、この患者は慢性的な感染者となり、ウイルスと共生関係を築いていたかもしれない。ほかにもどれだけの患者が同じような状況にあるのかを知りたいと考えている」(同論文の考察部分)
この患者は家庭内感染によって発症した。親戚の年配女性も感染しており、発症から陰性となって退院するまでに27日間を要した。研究者は、家庭内感染におけるウイルスの感染力と毒性は比較的弱いが、感染期間が長く、人体から排除するのが難しいと分析している。
(財新記者:馬丹萌、黃姝倫、蔣模婷、曾毓坤)
※敬称略。原文は現地時間4月28日20:25配信
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら