武漢で「コロナ患者ゼロ」何とも驚きのカラクリ 陰性に戻らない「長期陽性」も退院させている

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北京、広州、武漢の多くの感染症専門家によると、理論的には長期陽性患者の感染力は弱く、患者が一生ウイルスキャリアであり続ける可能性はあまりないという。「ある文献によれば、一部の患者が回復後にウイルスを排出することはあるが、病原性は著しく低下し、感染源となる可能性は低い」(蔣栄猛)。

発症から49日間陽性だった中年男性も

広州市第八人民病院の感染科主任である蔡衛平は、「今のところ長期陽性患者が感染力を持つかどうかは結論が出ていない。患者のDNAサンプルを培養して観察するなど引き続き研究が必要だ」と財新記者に話した。

「もし長期陽性患者の体内で活発なウイルスを再生産できなければ、周りの人に感染することはなく、慢性的な感染状態ではない可能性がある」(蔡衛平)

4月24日、上海市科学技術協会などが主催したシンポジウムで、中国工程院院士(訳注:理系研究者最高の栄誉とされる)であり、天津中医薬大学の校長でもある張伯礼は次のように明かした。

「武漢の一部の無症状感染者が長期間にわたって陽性となり、専門家を困惑させている。ただ、患者の体内のウイルスに対して実施したDNAシーケンシング(訳注:遺伝子解析の一種)の結果によると、一部の患者のウイルスは死んでいた」

「長期陽性」という言葉が生まれる前から、同様の現象は注目を集めていた。

3月22日、武漢中部戦区総病院の疾病予防管理科主任である王瓊(けい)書や、陸軍軍医大学基礎医学院の教授である繆(びゅう)洪明らは、医学関連の査読前論文プラットフォーム「medRxiv」で論文を発表。そこでは特殊事例として「1人の中年男性が発症から49日間、陽性だった」と書かれている。

同論文によると「新型肺炎患者のウイルスが排除されるまでに要する時間の中央値は20日間、発症から治癒するまでは最長37日間であり、重症・危篤の患者であっても明らかな差はないと考えられていた」という。  

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