危険手当320円、コロナに奮闘する看護師の実情 風評被害で心理的に追い詰められるケースも

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前出の福岡県の公的病院の看護師は、職場でのストレスに加えて最も看護師を苦しめているのが風評被害だと語る。

「感染患者を受け入れる前から、子どもが通う保育園から通園を断られている看護師もいました。近所の人からは、『あそこで働いているでしょ。大丈夫なの?』と興味本位で聞かれます。感染の恐怖と業務が増えて疲弊しているうえ、風評被害が職員を追い詰めています」

自分が感染するか、自宅待機になるか

医療従事者の労働組合である日本医療労働組合連合会が4月上旬に全国の加盟団体に行ったアンケートでは、「職員の転勤が引っ越し業者から断られた」「保育園から職員の利用を自粛してくれという要請があった」「職員の夫が勤務する会社が、夫の出勤を停止した」など風評被害や差別的扱いに関する声が多数上がった。

院内感染が発生した病院では病院名がさらされ、時に批判の的になる。多数の医療従事者の院内感染が発覚した、都内の病院に勤務する看護師はこう明かす。

「院内感染の影響で、自宅待機の職員が出ています。看護師が不足し有資格者に声がかかっています。ボランティアとして働く有資格者には、危険手当も出ていません。人員が少なく、患者のクレーム対応などに時間が割かれる場合もある。こんな状況がいつまで続くか不安ですが、自分が感染するか、自宅待機になるまでは仕事をせざるをえません」

現場の最前線で働く医療従事者は、神経をすり減らしている。このままでは医療従事者をバーンアウトさせかねない。

『週刊東洋経済』5月2日・5月9日合併号(4月27日発売)の特集は「コロナ医療崩壊」です。
井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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