日本の大学発ベンチャーがパッとしない病根 経営者はアメリカでの資金調達を検討すべし

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

資金以外でベンチャーの成長に欠かせないのは、クオリティの高いメンター(助言者)の存在だ。

アメリカの場合、例えばバイオテック関連だと、医師出身の投資家、製薬会社を経営したVC責任者、または起業経験のある大学教授のように、ベンチャーの成長に必要な知識・経営・研究などのバックグラウンドがあり、複数の強みを持つ人材が豊富にいる。資金力や人脈もあるので、出資してもらえるだけでなく、よりふさわしい投資家の紹介を受けられる。

今回のショーケースに参加したベンチャーからも、「各コメンテーターに、さまざまな観点からの知見や次に生かせるコメントをいただいた」と好評を得ている。見聞を広めるという意味でも、アメリカでの資金調達を検討する価値はあるだろう。

アメリカで大学発ベンチャーが注目されるワケ

アメリカの投資家は大学発ベンチャーに非常に注目している。理由はさまざまだが、前出のKiyoizumi氏によると「特にバイオテック関係だと規制や実験設備の制限があるため、有望なライフサイエンス分野のベンチャーの大半が大きな研究所と大学に集中している」という。そのため、エンジェル投資家は大学のベンチャー支援組織を介してメンタリングし、投資している。

アクセラレーター(スタートアップ支援組織)やVCも、同様の動きをみせる。例えば、世界最大規模のアクセラレーターであるY Combinatorも、各大学まで足を運び、自社のアクセラレーションプログラムを紹介し、起業意欲のある学生・研究者と積極的にコンタクトしている。

また、アメリカ西海岸のあるVC責任者は「(成功の秘訣は)いかに有望な大学のラボと接触し、いち早く投資させてもらうよう説得できるか。あるいは、育成する際、いかに研究室のままの雰囲気を保つかだ」と教えてくれた。

もちろん、日本の大学発ベンチャーがアメリカで資金調達することは簡単ではない。

まず、「伝える意欲」と「プレゼンテーション能力」が大きなハードルになる。国際舞台を視野に入れるベンチャーも増えているが、英語でのプレゼン力を高められるかが課題だ。

同じく英語が母国語ではない筆者が、いろいろな英語発表を聞いてきた経験から考えるところ、日本の起業家は英語で必要な情報を発することはできるのに、話し方に自信がないように感じる。

バイオテック関連を例に挙げると、アメリカの投資家は業界事情に詳しいため、まずは「きっと世界にインパクトを与える研究や製品になる」というマインドを伝えることが重要だ。その次に、キーワードやキーセンテンスをはっきり伝えられれば、理解を得られるはずである。

次ページ気をつけておきたい"落とし穴"
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事