日本の大学発ベンチャーがパッとしない病根 経営者はアメリカでの資金調達を検討すべし
大学の強力なバックアップも必須だろう。今回のショーケースを主導した京大医学研究科の萩原正敏教授は、ベンチャーを複数起業し、その育成にも熱心だ。事務局のメンバーも、製薬企業やバイオテック出身というバックグラウンドを持っていたり、経営やアメリカ事情に詳しかったり、大学内外の手続きをうまく調整するスタッフもいたりと充実している。
UCSD側も、ショーケースに参加するVCやコメンテーターの招致、見学先との調整、事前のプレゼン指導、場所や食事など、さまざまな手配に力を尽くしていた。
海外での資金調達の落とし穴
経済産業省の大学発ベンチャーに関する調査(2018年度)によると、海外市場を今後のターゲット市場として考えている大学発ベンチャーは74.9%。海外市場をターゲットとしている企業の割合は多く、アメリカで起業や資金調達をすることは海外市場へ進出するうえで有利な点が多い。
もちろん、海外での資金調達は容易でなく、欠点がないわけでもない。地域・業界によっては投資家が短期視点になりがちであったり、見込みがなければ早々に撤収したりすることがある。そのため、つねに勝ち抜けるように努力しないといけないし、交渉が失敗するケースも覚悟する必要がある。
ただ、日本国内のベンチャーを取り巻く環境がアメリカ並みに整備されるまでには、まだ時間がかかるとみられる。となれば、海外に視線を向けるのは現実的な選択肢だ。
一方、単独で、海外で投資家を探し出し、資金調達するのは、コスト面でもメンタル面でもハードルが高い。大学発ベンチャーなら、大学の資源をうまく活用すべきだろう。
今回、京大のイベントを通じて、日本の大学発ベンチャーがアメリカでの資金調達に一歩踏み出すことができた。大学側も大学発ベンチャー側も、このような動きを一段と増やすことを検討する必要があるだろう。
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