男性優位でも活躍「次世代女子」を育てる心得 出世街道の複線化事業を推し進めよ!

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「海外経験があり、なんらかの専門分野をもっていて、社交性が高い」

海外経験があって専門性が高くて社交性もあるとなれば、男性だって労働市場で重宝されることは間違いないでしょう。しかし女性の場合、旧来の“男性エリート”とは違うルートを歩んできた人ほど評価されやすいというのです。

「日本の企業の場合、昇進においても男性のほうが有利であることは否めないでしょう。そんな条件の中で登用される女性は、海外経験があったり、会計士やMBAなどの資格や経験があったりと客観的な評価指標となる何かを備えています。女性においては外向性と経済力に相関関係があるという研究もあり、男と女では求められるものが違うので、従来の男性型のエリートコースを歩むことが女性にとっては必ずしも活躍の場を得る近道にはならないということなのでしょう」

女の子の場合、お尻を叩いて最難関大学を目指させるよりも留学や資格取得などに時間とお金を使ったほうが賢い。さらに、外向的かつチャレンジ精神旺盛な女性は男性よりもむしろチャンスをつかみやすいということです。

女性を抜擢するときのNGワードとは?

女性の活躍を促進するには、男性とは異なるインセンティブ設計が必要だとも漆先生は訴えます。

「経済学者の中室牧子さんの著書『まんがでわかる「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中では、徒競走のとき、男の子は競争相手がいるほうが記録は伸びるけれど女の子は逆という研究が紹介されています。女子校で教えている経験からいえば、女子は、勝ち負けや賞が個人でなくチームに帰属するとやる気が出るんですよ。やる気の引き出し方からして男女では違う」

個人の能力や性格は、性別による違いよりも個人差のほうが大きい。女の子だからこうとか、男の子だからこうとか、性別によるステレオタイプ化がナンセンスであることはいうまでもありません。しかし、女の子だけの集団と男の子だけの集団では、集団として見た場合の振る舞いが大きく違うことは、私もこれまでの取材経験の中で目撃しています。

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