「相手のやる気を削ってくる人」の悲しい生態 善意の場合もあるという厄介さ
当初はやる気を高く持って取り組んでいても、そんな人物の存在によってジワジワと、あるいは一気にガクンとモチベーションを落としてしまうのです。
知人の証券マンで典型的な“善意系MSM”がいます。彼は管理職なのですが、彼の下に配属された部下は1年以内に退職するといわれるくらいの人物。それまでは意欲的な社員でも、一緒に仕事をするとモチベーションが確実に下がって退職に追い込まれるとの噂が広まる存在です。
彼はパワハラめいた言動をしているわけでもないのに、なぜ部下は離れていくのでしょうか。
発言がズレまくりの“善意系MSM”
その知人は、こだわりのある部下に「仕事に対するこだわりが薄い点がきみの長所だね」と反対の褒め言葉をかけたり、「上司の話を一切聞いていないよね」「自己アピールがすぎるけど、それも特徴だね」と言ったり、ようは部下が「自分のことをわかってくれていない」と感じる発言を連発します。
ただ、本人にとっては悪意のある発言とは限らず、言外には「しかし、それなりに評価している」「頑張っている」とたたえているようなのですが、その意図は伝わらないのです。
こうしたMSMは誰しもが顔を思い浮かべることができるでしょう。このようにモチベーションを下げてくる人は、ズレた発言が多い傾向があります。
さらにそのズレた発言が「そうに違いない」とか「自分だけでなく、職場でよく耳にする」などと確信めいたものがあるので、言われた人のモチベーションは大きく下がってしまいます。
「私は違いますよ」と言える関係であれば話が進むのですが、この人に言ってもしょうがないなと思ったら、やる気がなくなるほかありません。
この誤った断定こそ、MSMの行う代表的な行為といえます。たとえ善意であっても本人が間違いと感じられる認識で断定されれば、誰でもモチベーションは下がります。
もう1つのエピソードを紹介しましょう。
営業部門で中堅社員のAさんは、周りの若い社員の成長のために意識して仕事を渡すようにしていました。しかし、同僚の1人から「『面倒な仕事は若手に丸投げで、自己中心的だね』と隣の部署でも噂になっていたよ」と言われたとのこと。
本当に隣の部署で噂になっていたのか、真偽を確かめる意欲もなくなるほどの発言ではないでしょうか。
まさにこの同僚こそMSM。Aさんはその後、後輩との打ち合わせ中にやる気がない発言を繰り返し、「今日は帰ります」と打ち合わせも中座して退社してしまったようです。
その後は以前のように後輩に対して面倒見のいい姿勢が見受けられなくなり、「いいよ、自分でやるから」と仕事を任せることが少なくなり、1人で抱え込むようになってしまいました。MSMの発言は、Aさんに大きなモチベーションの低下を生みだしてしまったのです。
決して近づきたくない人物といえますが、避けられない距離にMSMがいるケースもあります。
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