「若い社員」が次々辞める会社に足りないもの 1カ月や1週間という超短期離職も増加中

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若手の超短期離職が増えている(写真:プラナ/PIXTA)
思わず“タイトル買い”した読者も多いのではないだろうか。まるで連鎖反応のように、短期間のうちにゴソッと若者が辞めていく光景。採用難の時代、社員に長く働き続けてもらうこと、「リテンション」(定着・引き留め)が大きな経営課題になっている。『なぜ、御社は若手が辞めるのか』を書いた青山学院大学経営学部の山本寛教授に詳しく聞いた。

──入社3年で離職率30%、というのがよくいわれる数字ですね。

その数字自体に大きな変化はありませんが、中身を見るとそれこそ離職までが短期化していて、「3年も我慢できない」と、1年どころか1カ月、1週間の超短期離職が増えています。新人研修が終わった途端、辞表願を出してくる。

採用側からすれば訳がわからない。「え、何で?」と。ある日突然出社しなくなる“衝動的離職”も多い。それをSNSで「俺、会社辞めた」と書き込んで、若者たちの間で超短期離職は普通のことなんだな、という認識が共有される。

「入社してみたら上司がひどかった」とか「この仕事、自分に合わない」という声を“自分ごと”としてとらえてしまう。今や売り手市場ですから、「まだ新卒扱いでいけるよな」「去年落ちた会社に再挑戦してみるか」と。大学のゼミ生に聞いても、「先生、転職を考えてない人なんて、今いないでしょ」という声が返ってくる。

連鎖退職の問題

──退職が退職を生むスパイラルに陥ってしまう?

連鎖退職自体は、以前から、特にIT系で見られました。今問題になっている連鎖退職というのは、プロジェクトチームがゴソッと一体で辞めるというよりも、ハイパフォーマーや中核的人物が辞めたとき、その社員に対し会社は何のフォローもしなかった、自分も頑張ったところで結局その程度の扱いなのか、と負の空気感が周囲に蔓延してしまうこと。

たとえば営業だけが辞めているうちは、技術や総務など他部署の人間には、会社としては痛いだろうけど自分ごとにまでは至らない。ところが職種や年齢やキャリアを問わず広範囲に退職者が出だすと、「この会社に未来はないかも」とせきを切ったように連鎖退職が始まる。

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