コロナで神話崩壊、名古屋タクシー運転手の告白 流転タクシー第2回トヨタ依存の街の今後

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――岡村さんによれば、名古屋は個人タクシーが利用者から敬遠される地域だという。東京のドライバーからは個タクの方が儲かる、という話も聞くが、名古屋では当てはまらないそうだ。

名古屋の中心地を回り、土地勘がないとたどり着けないような穴場のきしめん屋、手羽先屋を紹介された。「名古屋にもうまい店があることを知ってほしいから」と冗談混じりに話す。そして目的地である栄に近づいた時、話は業界の未来にまで及んだ。

岡村さん:昔なんか遊んでいてもタクシーで飯を食っていけた。それこそ30、40万くらいの稼ぎは毎月あったからね。名古屋ではタクシーの運転手は金持ちだ、なんて言われた時代もあって、親戚の集まりなんかでもお年玉を弾んでいた頃もある。ところが、今は名古屋のタクシー運転手は貧乏人だよ。

この間、珍しく30代と若くてやる気あるドライバーから会社を辞める、と連絡が来たんよ。なんで辞めるのか聞いたら、「結婚したい人ができたと。でも、ドライバーの稼ぎだと家族を養っていけないから転職します」って。それを聞いて、なんだか悲しくなっちゃった。

ワシは20の時に子供ができて、その息子の嫁もハタチの時に子供を産んでいるから計算が簡単なんよ(笑)。ワシらの時代は、考えなしにいきあたりばったりのところもあったけど、今の子らはそういうワケにはいかへん。

業界全体で考えて若い子を守っていかないと、変わっていくべき業界ではあるのは間違いない。外国人のドライバーを実験的に増やしていく、という声もあるけどそれも現実的な選択肢になる。老い先短いワシらはええけど、若者が未来をイメージできる業界でないとアカン。

名古屋の未来はどうなってしまうのか

栄のホテルに着き、岡村さんの“名古屋ガイド”は終了した。どうやら筆者が最後の乗客だったようで、この後は夕食をとる予定だという。

「息子と久し振りに行くんです。焼き鳥がうまい店で、飲んで食べても2000円ちょい。繁華街なんか久しく行ってないな」

筆者が会計を済ますと岡村さんは深々と頭を下げて、帰路へと向かう車を走らせた。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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