オンライン診療「初診解禁」で医療はどう変わる 次世代医療を担うベンチャーが続々登場

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都内4カ所で診療所を展開するクリニックフォアは、いち早くオンライン診療に取り組んできた。同クリニックのシステム開発を担うベンチャー、リンクウェルとともに独自にオンライン診療システムを開発し、事前予約、問診、電子カルテ、ビデオチャット、クレジットカードによる決済までをすでに整えている。今回の初診解禁に合わせ、本人確認のために保険証や身分証明書をアップロードできる仕組みも追加した。

1日10人以上診察したクリニックの気づき

クリニックフォアでは、それまでオンライン診療をED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)、ピルの処方など保険の効かない自由診療に限定していたが、厚労省の通達を受けてシステム改修を終えた3月9日以降、1日10~20人程度の患者を診察してきたという。

自身も医師としてクリニックフォアで診察も担うリンクウェルの金子和真代表は、「定期受診患者に対するオンラインでの診察自体にはあまり課題はなかった。感染リスクがある中で患者からは感謝されている。ただそうした患者でも症状が変わり、薬の処方が変わる場合は、対面で診察しないと判断が難しいこともある」と指摘する。

オンライン診療は予約、問診、診察、決済という流れが一般的だ。画像はメドレーが医療機関向けに開発・提供するオンライン診療アプリ「CLINICS」(画像:メドレー)

さらに初診患者のオンライン診療について金子氏は、「実際にのどの中を見たり、胸の音を聞いたり、お腹を押したときの反応を見たりといった身体所見が取れないという点にはリスクがある。患者の理解も必要だ。対面診察の“儀式”と思えることにも、きちんと意味がある」と話す。

クリニックフォアでは、初診患者の対象疾患を、軽微な急性期疾患や、今の状況で通院の難しい慢性疾患の一時的処方に限定する独自の方針を掲げている。また、医師が対面診療が必要だと判断した際、グループ内、あるいはグループの連携医療機関での対面診察が可能な患者に限っている。

一方で、自らシステムを構築できる医療機関は少数派だ。クリニックフォアのシステムと同様に、予約、問診、ビデオチャット、決済、服薬指導など、一連のプロセスをアプリなどのパッケージとして提供する企業が、ベンチャーを中心に増えている。2019年、東証マザーズ市場に上場したメドレーは、先述したオンライン診療対応医療機関の約8割にオンライン診療システム「CLINICS(クリニクス)」を提供する。

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