「条件付き現金給付」の筋が恐ろしく悪い理由 コロナ禍の緊急経済対策はどうあるべきか

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そこで、休業補償についても、上述の現金給付の場合と同様の手法を適用することが考えられます。

まず、補償を受けられる条件を詳しく公示します。該当すると考える企業や事業者は、オンラインで申し込みます。無条件で申し込みが受け付けられることとします。

そして後日、証明書類を提出することとするのです。無提出なら、給付金没収。虚偽申告と判定されれば、巨額の罰金とします。

なお、この場合は、現金を給付するのでなく、公的金融機関による無利子の貸し出しであってもよいでしょう。担保などをどうするかは要検討です。

まず給付し、あとで審査すべし

現金給付にしても休業補償にしても、これからさまざまな公的申請が必要になります。窓口で申し込むのでは、コロナ感染を拡大する場を提供することを意味します。すべての公的申請をメールで受け付け、必要書類は写真添付でよいとすべきです。

いま必要なのは、現場に事務負担をかけず、申請者が申し込み窓口に集まらなくて済み、迅速に効果が期待できる施策でしょう。現金給付も 休業補償も、事態は急を要します。とりあえず現金を配り、後で調整して正しい給付にすることを考えるべきです。

これは、一見するほどおかしな制度ではありません。申告納税では、納税者の判断で申告し、納税します。それが過少申告なら、あとで非常に重い罰則措置があります。

現金給付や所得補償も、これと同じ扱いにすればいいのです。とりあえず給付し、あとで審査して、不正請求に重い罰則を科すのです。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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