楽天のカルチャーは「お寺」に似ている?

楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その4)

――楽天が創業17年で今のポジションにあるのは、想定どおりですか、想定以下ですか、想定以上ですか?

まずインターネットの発展というか進化のスピードは、僕の想像を上回っています。スマートフォンが出てきて、これからまたすごいことになると思いますし、テレビもスマートTV化して、電子書籍も発展していく。このスピードは私が想定していたよりも速い。

三木谷浩史(みきたに・ひろし)
楽天社長

1965年神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。93年ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、96年クリムゾングループを設立。97年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。04年にJリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーに就任。同年、東北楽天ゴールデンイーグルスを設立、2013年に日本一に輝く。

楽天の立ち位置という点では、当然、大きな夢はあるとして、「自分は最低限ここまではいきたい」というベースラインよりは上にいっています。今のポジションは、そのベースラインと、すごくアグレッシブなターゲットの中間ぐらいですかね。まあ、まずまずというところです。

――ほとんどのベンチャーが潰れる中で、楽天がここまで成功できた要因は何だと思いますか。

ひとつは、付加価値が高いサービスを作ることに、つねに力を注いできたことです。ですからたとえばヤフーやLINEがショッピングを無料化したり、いろんなチャレンジを受けても、楽天はビクともしません。なぜなら出店者にも顧客にも、クオリティの高いサービスを提供していて、差別化できているからです。

すごく無機質なサービス、簡単な仕組みだけのサービスというのは、結局、料金のところでやられてしまうので、安定して伸びない。楽天の根幹は楽天市場の強さにあるので、それを私が中心になってしっかりやっていきたい。今でも毎週何日間も会議やっていますし、お客さんとも話しています。そういう根本のところを忘れてはいけない。

それに加えて、楽天技術研究所を中心にして、情報ネットワークを広げて最先端の技術を導入しています。結果的には、それがうまくいってきたのかなと思います。大きな価値をしっかりと作って、それを高めていく。それから情報ネットワークを広げて、とにかく世界の潮流を見極めていく。つねに改善、改善でやっているということです。

やっぱり世界の企業を見ても、フェイスブックはソーシャルネットワーク、グーグルはサーチ、アマゾンは直販というふうに、何か幹となるべき事業があります。楽天の幹となるべき事業はやっぱり「楽天市場」であって、これがうまくいっているからほかにいろんな果実ができるんですよね。

――ある投資家の方が、「楽天のカルチャーは、お寺に似ている」と指摘していました。修行僧のように愚直にサービスを極めるところがお寺っぽい、という意味なのですが、どう思いますか?

お寺(笑)、なるほど。われわれの仮説というのは、オートメーションとヒューマンなファクターを合わせていくことなんですね。たとえばフェイスブックも、全体の仕組みの中でヒューマンなファクターはあるのかもしれませんが、対消費者、対クライアントという意味では、あまりヒューマンなファクターはないわけです。そこがたぶん楽天とそれ以外のインターネット企業とのいちばんの違いだと思います。

ビッグデータや高度解析など、テクノロジーはテクノロジーですごく最先端のことをやりつつ、お客さんに対しては、おもてなしのマインドで、コテコテでやっていくという、両極端ができている。それがお寺的なのかどうかは、ちょっとわかりませんが、社員に言っているのは「自分たちはまだまだなんだ。慢心するのではなく、どんどんと進化していこう」ということです。そういう意味では、修行っていう感じかもしれないですね。

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