武漢には現在、漢口葬儀場を含む8カ所の葬儀場があり、そのうち3カ所は都市の中心部にある。漢口葬儀場のスタッフによると、多くの遺族が5、6時間も待たなければならないのは、葬儀場の遺骨が多すぎて人も足りず、探すのに時間がかかるからだという。「一番よい方法は、ネットで事前予約しておくこと。そうすれば、遅くとも1、2時間で遺骨を受け取れる」。
別のスタッフによると、2月の最も忙しかった時期には1日19時間も働き、男性スタッフ全員が遺体を運ぶのに駆り出されていたという。「あまりにも多い。清明節(訳注:4月4日、中国の祝日で墓参りや先祖の供養を行う)までに遺骨の引き渡しを終えて、亡くなった人が早く極楽往生できるようにと上から要求された。ここには新型肺炎で死んだ人もいれば、他の原因で亡くなった人もいる」と語る。
葬儀場に置かれている骨壺は3500個
劉萍が遺骨を受け取ってホールを出ると、西側の玄関に大型トラックが止まった。積んでいたのは漢口葬儀場が注文した骨壺だ。運転手は、「この車には2500個余りの骨壺が積まれており、昨日も同じ量を納品した」と話す。葬儀場の男性スタッフ十数人がトラックに乗り込み、ホールに骨壺を運んだ。500個でひと山。現在は7山が置かれている。
午後3時、武漢はどしゃぶりの雷雨に見舞われた。劉萍はすでに車に乗り、その場を離れていたが、朝の行列のそばで、雨の中1人の老婆が夫の遺骨を待っていた。
周りの人々は車の中で雨宿りをするよう勧めたが、彼女は「主人と結婚して60年以上になるが、これほど長く離れたことはなかった。必ず一番近くで、彼が出てくるのを待ちたい」と返した。親族らは傘をさし、待ち続けるほかなかった。
財新記者が午後4時に葬儀場を離れる際にはまだ、遺骨を受け取りに訪れた親族がいた。受付番号表示機の数字は230余りに達していた。
3月26日までに武漢市が発表した新型コロナウイルスの感染者は5万0006人、死亡者は2531人だ。同市の三甲病院救急科のある医師は財新記者に対し、「1月下旬から2月上旬までの20日間は核酸検査(訳注:PCR検査など)が不足。新型コロナウイルス感染者の死亡数にほぼ匹敵する数の、感染の疑いがある患者が死亡した。自宅での死亡または、新型コロナ以外の死亡患者の具体的な人数は、行政部門などだけが把握している」と語った。
(財新記者:包志明、丁剛)
※敬称略。原文は現地時間3月26日23:18配信
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