新型コロナの自粛モードを打ち破る3つの方法 日本マクドナルドの「再生人」足立光氏に聞く

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実は、今回の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、以前からある程度予見されたものでした。映画『ミッション:インポッシブル』や『ダ・ヴィンチ・コード』などでも、人工的にウイルスを拡散させるという話がありました。

また、これまでも実際にSARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなどが発生しており、今回はこうしたことがグローバル化の進展によってついに深刻な世界的危機に発展したにすぎません。ですから、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックが収束しても、また同じようなことが再発することは間違いないでしょう。

次の危機を「今からシミュレーション」する

現在、すべての業態の業績が悪いわけではありません。いわゆる「巣ごもり消費」の業態、例えばウーバーイーツや出前館などのデリバリー関連や、アマゾンや楽天などのネット通販(EC)、ネットフリックスなどのコンテンツのサブスクリプション(定額課金)関連、ズームなどの遠隔会議ビジネス関連、さらにはオンラインゲーム関連などのサービスを提供する企業が順調に業績を伸ばしています。日々の生活では皆さんもこうしたサービスを利用していると思います。

こうしたデリバリーやコンテンツの会社があらかじめ今の事態を想定していたかどうかは不明ですが、これらは一朝一夕でできる仕組みではありません。日本は地震大国なので地震に備える国民の意識は非常に高いですが、今回の経験からこうしたウイルスによる危機が再発したときに、自分たちの業態はどう対応していけば生き残っていくことができるのかを、今からシミュレーションして行動することです。

例えば、飲食業で言えば冒頭でお話ししたように、六本木や銀座の飲み屋さんは不要不急の外出や宴会の自粛で「全滅状態」です。一方で、酒屋やコンビニやスーパーなどはデリバリーもできるし、持ち帰りが可能なので家飲み需要をとりこんで盛況です。また、実は業績を落としていると思われがちな外食業界も、郊外に限っては売り上げが伸びているところも少なくありません。学校が休みで子供が行くところがないので、普段なら週末に家族連れでにぎわうような店が平日も混んでいるのです。

まずは、今あるリソース(資源)を最大限に活用し、どんな状況に直面しても極力苦しまずに済む状況を今から作っていくことです。今回の新型コロナウイルスによって短期的には苦しい場面が続くと思いますが、中長期的に見てどういうバランスでビジネスをすればいいかを考えるいいチャンスだと捉えることです。

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