新型コロナの自粛モードを打ち破る3つの方法 日本マクドナルドの「再生人」足立光氏に聞く
さて、2つ目は、いろいろな方策を考えるときの判断基準についてです。「施策をするか、しないか」、また「その施策の善しあし」の判断は、こうした危機的な状況であっても、つねに変わらない「原則」に立ち戻って考えることです。つい先日、日本の広告費において、ついにインターネットがテレビを抜いたというニュースがありました。しかし、メディアが変わっても、広告の原則というのはほとんど変わっていません。
「自分たちの会社はどんな会社か」が問われている
例えば、何かの話題を最大化しようとするときは「モーメント」、つまりその瞬間、時流にあったことをいかに伝えられるかがとても大切になってきます。みんながなんとなく自粛モードに入っていて、「変なことを言ったら叩かれるけど、そこで感情に訴えてうまく消費者の心をつかんだケース」が過去にも何度もありました。
1番わかりやすい例が、2011年東日本大震災の直後にエステー化学が出した「消臭力」という商品のCMです。それは、ミゲル・ガーレイロくんという男の子が「しょ〜しゅ〜りき〜」と商品名を軽やかに歌うように読み上げるだけのものでした。実はこのCMの背景には、かつてポルトガルのリスボンで大規模な災害があったこと、そのポルトガル出身のミゲルくんが歌う意味合いも込められていました。
TVでもネットでも、毎日洪水のように流れる広告の中では、このように、「こういうデータがあるからこの商品は優れている」というロジック(論理)だけではなく、人の感情に訴えないと、人々に響くような突出したコミュニケーションはできません。しかも、感情に訴えるだけではダメで、それがモーメントに乗っていないと叩かれるのです。
ですから、今の状況でお客様に対してどんなコミュニケーションをしていくか、今はとても大切なタイミングでもあります。「お客様よし、取引先よし、われわれ(企業)よし」の三方よしが商売の原則だと思いますが、まさに今こそ、「自分たちの会社はどんな会社か」ということが、世間から問われているのです。「今だから」というわけではないですが、この「原則」に立ち戻ることがとても必要なことだと思います。
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