ミニストップ「マクドに挑んだ」独自の成長戦略 狙ったのはファストフードとコンビニの合体
セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマートの、いわゆる3大チェーンがしのぎを削る中で、現在、業界第4位のミニストップは独自の立ち位置を取る。店内で製造するコールドスイーツは子どもたちに人気で、夏になるとカウンター周りで商品の出来上がりを待つファミリーの姿が、ミニストップの夏の風物詩となっている。
2019年時点の店舗数は約2000店、セブン‐イレブンの10分の1である。日本の流通覇権を争うイオングループとセブン&アイ・ホールディングスの各々の売上規模から見ると、ミニストップの店舗数は物足りないと映るかもしれない。
一方で、ミニストップとファストフード・チェーンの店舗数を比較すると、1位のマクドナルドが約2900店舗、2位のモスバーガーが1300店舗、ケンタッキーフライドチキンが1100店舗と、まったく見劣りしない数字と言えるのではないだろうか。
ライバルはマクドナルド
なぜファストフード・チェーンと比較するかというと、ミニストップが1980年7月に登場した当初、ファストフードとコンビニを合体させた「コンボストア」としてチェーン展開を企図したからである。ライバルはセブン‐イレブンであり、マクドナルドでもあったのだ。創業当初に阿部幸男は、ミニストップのハンバーガーを食べて「M社、L社などより一段とうまいと思う」(『食品商業』1981年9月号)と太鼓判を押していた。
創業時、ミニストップが店内製造するハンバーガーには、ポークハムサンド200円、チキンサンド250円、ビーフハムサンド250円などがあり、多分にハンバーガーチェーンを意識した品揃えをしていた。現在はハンバーガーの店内製造は止めてしまい、夏のコールドスイーツに売り上げが集中する店内製造であるが、当時のカウンターの写真を見ると、ハンバーガーチェーンと見まがうようなメニューボードが、後ろの壁面に貼られている。
なぜミニストップは、セブン‐イレブンやローソン、ファミリーマートのようなモデルで勝負しなかったのか。当時、業態開発に関わった人に聞くと、「スタート時、すでにセブン‐イレブンが1000店舗に達しようとする時期で、同じフォーマットで戦うのは難しい」と判断したからだという。