ミニストップ「マクドに挑んだ」独自の成長戦略

狙ったのはファストフードとコンビニの合体

当時の資料を見ると、店内レイアウトは、コンビニの売場とファストフードの客席を、レジを各々別にして2つにスペースを分けて運営していた。イートインコーナーは、保健所の指導により、当初は椅子席4、立ち席4に抑えたが、満席になる時間が多かったため、2号店の鴨居店では、客席を16に拡大している。

ミニストップとしては、本格的なコンボストア、すなわちマクドナルドにファストフードで対抗できるだけの本格的な装備で臨むのか、あるいは簡略化したセミコンボ式がよいのか、社内でも議論があった。ファストフードを強化すると、確かに売り上げは上がるのだが、コストとして、人件費と設備費、光熱費が乗っかってくる。それらを吸収するには、売り上げを余計に確保する必要がある。

一方で、コンビニ部門の粗利益率が25%想定なのに対して、ファストフード部門は55%想定と高い。一般的な飲食店の粗利益率は70%なので、価格を抑えた分、飲食店よりは低くなるが、それでもコンビニ部門の仕入れ商品よりは格段に高い。ファストフードを売れば売るだけ、全体の粗利益率は向上する構造である。

コストか、売上か、それが問題だ

コストを抑えることを重視するべきか、コストを脇に置いてファストフードの売上比率を高めるべきか、前例がないだけに多くの実験と検証が必要とされた。

1号店の大倉山店は、事前の調査で7時から23時までの営業時間中に、店前通行量が3360人とわかった。コンボストアが利益を生むには、5000人は必要ではないかと社内で議論になったが、あえて疑問の残る立地に出店し、悪条件を克服できるかチャレンジを試みた。結果、ファストフード部門が徐々に売り上げを上げて、オープンから1年後にはコンビニ部門を加えた総売上が3割増となり、軌道に乗せている。

コンビニとファストフードの合体は、肯定的に見ると成長著しい最強の組み合わせ、否定的に見ると、どちらも中途半端。業界の中では考え方が真っ2つに割れた。

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