株の大暴落は一体いつになったら止まるのか 株の乱高下が大暴落をもたらす「5つの理由」

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この変動を投資家が嫌うことを象徴するものとして、「VIX指数」というものがある。通称「恐怖指数」だが、VIX指数とは、アメリカの代表的な株式指標の一つであるS&P500指数のオプション取引の数値から算出されるもので、今後30日間のS&P 500の予想変動範囲を表している。要は、トレーダー達が予想する今後の株価水準の変動を表している。変動予想がVIXであり、それを恐怖と呼んでいるのである。

恐怖指数は「正しくない」から価値がある

では、なぜ「恐怖」と呼ぶのか?

それが第3のポイントで、ここで表される変動予想は外れるからである。つまり、今後の変動が大きい、とりわけ極端に大きいと予想されている場合、現実の変動はそれよりも小さくなることが多い、ということが統計的に示されている。なぜ変動予想が過大になるのか。それは予想として正しくないではないか。いやいや、だからこそ、この変数は意味があるのである。

この指数は正しくないからこそ、価値があるのである。

なぜなら、その誤りこそ、恐怖を表しているからである。

株価が大きく変動してくると、さらに大きく変動したらどうしよう、という不安に駆られる。センチメントが恐怖に支配されるのである。それに備えてオプションを買って保険にする(ヘッジする)投資家もいる一方で、これを煽る投機家もいるし、トレーダーとしては、その不安のモーメンタム、恐怖の高まりに賭けて買うことになる。

この3つの要素が重なって「インプライドボラティリティ」と呼ばれる、「予想されている変動」は極端に大きくなる。しかし、実際の変動は普通に株式を取引している(あるいは普通の指数先物を取引している)投資家たちによっておおむね支配されるから、変動は小さくなり、VIX指数の予想よりは現実は小さくなるのである。

そして、第4にオプション取引の価格がぶれるだけでなく、株式そのものの価格、つまり株価もぶれる。これは前出の第2の点で述べたように、理論的にリスクが高まるから理論株価が下がるのだが、これが現実にも実現する。ただし、それは理論が当てはまっているというよりは、恐怖というセンチメントが支配しているから、投資家はすべてに悲観的になり、株価自体も下がるのである。

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