株式相場の乱高下が続いている。
この乱高下は見たことがない水準で、「壊れた時計の誤表示」かのように、あり得ない下落幅だ。例えばNYダウの下落なら「1000ドル、2000ドルは当たり前!次は3000ドルもあるよ!」という、バナナの叩き売りのような叫び声が聞こえてきそうだ。
しかし、「乱高下というからには、上がったり、下がったりなのだから、必ずしも、下がるばかりではないはずではないか?」と思ったあなたは、相場の素人だが、賢い。正しい。理論的には正しい。それでも、現実的には「乱高下」とは、株式投資家やトレーダーたちにとっては「大暴落」と同義語なのだ。
なぜ「乱高下」は「大暴落」と同じなのか?
なぜなのだろう?それには5つの理由がある。
まず、第1に、理論的にはリスクとは「将来の変動」を意味する。変化はリスクなのだ。それは上がることも変化だし、下がることも変化なのだ。「明日の株価が上がるか下がるか分からない」、ということが、理論上(定義上)のリスクであって、もし暴騰すれば、それはアップサイド(上振れ)のリスクが実現したことになるのである。例えば「ある資産の平均リターンがゼロで、上下のレンジがプラスマイナス1%」よりも、「プラスマイナス10%」の方が、圧倒的にリスクが高いことになる。
したがって、乱高下している株式相場は、「株価が結果的に下がっていなくともリスクの高い相場」、ということになる。
第2に、こうなると、理論的な株価は下がる。株式(あるいはリスク資産全般)の理論価格は、リスクとリターンのバランスで決まる。リスクが高い株式は企業収益の期待上昇率が高くても、リスクが低くて同じ収益を上げる企業の株式よりも、はるかに安い理論価格となる。なぜなら、投資家は「リスク回避的」という理論的前提があるからである。
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