なぜ米緊急緩和や日銀のETF買いは最悪なのか FEDも日銀も「愚かなこと」をやってしまった

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日銀の16日の「株式買い入れ拡大」は筆者に言わせれば「愚かな行為」だという。それはなぜか(撮影:大澤誠)

株価の暴落が続いている。

にわかにリーマンショックとの比較が盛んになされるようになったが、ある意味ではリーマンショックを遥かに超えた驚きの暴落である。

あまりに無力だった中央銀行の金融緩和

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これに対応して、アメリカのFEDは同国時間15日の日曜日夜(日本時間16日の朝6時)に、FOMC(米公開市場委員会)を待たず1%の緊急利下げを実施、ゼロ金利とした。さらに量的緩和を再開した。

日銀もすぐさま応じ、16日昼に政策決定会合を前倒しで緊急実施することを朝9時前に発表。会合は2時間ですませ、株式ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)の買い入れ額をただちに決定し、16時から黒田東彦総裁は記者会見を実施した。

これを受けて株価は急反発するかと思いきや、まさかの大暴落。まず、アメリカ金融利下げ発表直後から、ダウ先物は1000ドル安となった。日本株も日銀の発表直後の14時には一瞬上昇したものの、すぐさま下落に転じ、400円以上下落して引けた。

日本時間の夜になって、アメリカ株式市場が開くと、すぐさま大暴落となり、サーキットブレーカーが今月3度目の発動。しかし、まったく効果はなく、16日のNYダウの引け値は2997ドル安の2万0188ドルと、2万ドル割れ寸前で終わった。

なぜ、株価はここまで下がったのか。そして、アメリカのFEDが金融緩和ゼロ金利、量的緩和再開、日銀が株式ETFの買い入れ倍増まで表明したのに、それにもかかわらず、なぜ下がるのか。中央銀行関係者も市場関係者も呆然とし、理由がわからず、頭を抱えた。

愚かだ。当然だ。

市場を理解しないメディアのニュースキャスターなどは、「新型コロナウイルスの影響がさらに拡大」といったコメントで報じているが、まったく違う。そうではなくて、アメリカや日本などの金融緩和拡大が裏目に出ただけだ。

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