NYダウはまだ「下げ止まった」とは言い切れない もはや1日1000ドル超動くのは当たり前に
3月9日配信の記事「ブラックマンデー型の大暴落の可能性がある」は、9日だけのアメリカのマーケットの下げをイメージしたわけではないが、引け後にドナルド・トランプ大統領が減税を含めた財政対策を示唆したことで、株式市場の下落はいったん止まった。ただここれで完全に下げ止まるのかといえば、それには力不足だろう。
パンデミック(世界的な大流行)クラスの疫病と株価の前例では、新型コロナウイルスはSARS(重症急性呼吸症候群)ではなく、1918年に始まったスペイン風邪が一つのターゲットだ。スペイン風邪は当時の株価に25%~28%の調整をもたらした。ならば今回も、とりあえずはその水準がターゲットとするのが妥当だろう。
S&P500の今後の「基本シナリオ」は?
そんな中、アメリカの9日朝方7%の下落で発動されたサーキットブレーカーはそれなりに役割を果たし、S&P500種株価指数は今年の高値からほぼ20%の下落で下げ止まった。
2018年末の急落も、高値から約20%の下落で止まった。20%の調整はいったん買いが入るポイントである。ただし、サーキットブレーカー発動が1回だったのは、あく抜け感としては不十分だ。マーケットが早く回復するには、2回目のサーキットブレーカーが発動される13%の下落と、その先の20%下落のリミットダウン(アメリカは20%下落すると取引終了)を早く試した方がいい。
いずれにしても、テクニカル面で見た、S&P500の次の「支持ライン」は大きく見ると①2008年のリーマンショック後安値②2011年の米国債格下げによる安値③2016年の利上げ再開ショック後の安値④2018年12月のクリスマスショックの安値の4つを直線で結んだトレンドラインの2500ポイントレベル(9日の終値は2746ポイント)。ちょうどそこは9日の引けから10%弱の調整。つまり、ここまで下げ幅でスペイン風邪とほぼ同じ調整になる。
これは基本のシナリオだ。もし違ったら、すぐ別のシナリオを準備すべきだろう。そもそも今の株式市場は、労働者の経済活動とは無縁のプロたちによる過剰流動性・相対ゲームの場である。そこではその流動性が株や債券やVIX(恐怖指数)や為替や商品の間を相対比較で縦横無尽に動き回っている。
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