ファナック「黄色の最強軍団」が迫られる転換 かつて40%を誇った営業利益率は右肩下がり
背景には「スマホ特需」の剥落がある。iPhone新製品が投入されるたびに金属製筐体を加工する小型切削加工機がEMS(電子機器の受託製造)向けにバカ売れした。だが「加工機はだいぶ行き渡っているので今後は爆発的な需要は見込めない」(山口社長)。
要因はそれだけではない。収益柱だったNC装置を含むFA(ファクトリーオートメーション)部門の売り上げが伸びていないのだ。
ファナックはNC装置を日本の民間企業で初めて開発し、工作機械に組み込む「デファクトスタンダード(事実上の標準仕様)」を作り上げた。その標準品を大量生産し、国内やアジアでは圧倒的なシェアと利益率を達成したのだ。
しかし近年、三菱電機や独シーメンスが手がけるNC装置の競争力が高まっているほか、中国企業も参入するなど他社の追い上げが厳しい。さらに、欧州でもシーメンスの牙城を切り崩せずにいる。ある業界関係者は「ファナックの黄金期は過ぎた」と切り捨てる。
だが、ファナックも手をこまぬいているわけではない。次なる成長柱として注力するのがロボットだ。
2016年3月期にはロボット部門がFA部門の売上高を逆転。ファナックのロボットは自動車分野ではかなりのシェアを持つとみられる。
小型ロボットの差別化は難しい
さらに2019年末に発表した前述の白いロボットは「ロボットの売り上げを現状から一段上げるための1つのカギ」(山口社長)と位置づける。
こうした協働ロボットではデンマーク・ユニバーサルロボットが市場の半分超を握り、参入企業も相次ぐが、ファナックの山口社長は今年春以降に量産化し、「製品の信頼性や保守サービスなどの強みを生かしてシェアを獲得する」と鼻息は荒い。
ただ、自動車向けの大型ロボットよりも今後需要の増加が見込まれる小型ロボットの単価は低く、デファクトを築いたNC装置と比べて差別化が難しい。
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