ファナック「黄色の最強軍団」が迫られる転換 かつて40%を誇った営業利益率は右肩下がり
さらに、あるロボットメーカーの首脳は「われわれは顧客ごとにニーズを細かく先読みしてきたが、ファナックはこれまで標準品でシェアを取ってきた」と指摘。ファナックの今までの方法では新規分野で簡単にシェアを取ることは難しいとみる。
売り先が変わるだけではない。売り方も変える必要がある。「ロボットの競争領域は精度やスピードなど技術的な性能向上から、いかに簡単に使えるかということへ移ってきている」(業界関係者)からだ。そこではオープン化や脱自前主義がカギを握っており、秘密主義で顧客を囲い込んできたファナックも転換を迫られている。
カギを握る「フィールドシステム」
2015年にはAI(人工知能)で有名なプリファードネットワークスと協業し、AIによる製品の故障予測などのソフト開発を進めている。ファナックの稲葉善治会長は「今までは工作機械やロボット単体で何ができるかという話だったが、そう単純ではなくなってきている」と指摘する。製品を組み合わせたシステム全体で、顧客の生産性向上などの課題解決にどれだけ貢献できるかが重視されるからだ。
その中核となるのが、ファナックが2016年から展開する製造業向けIoT(モノのインターネット)基盤の「フィールドシステム」だ。機械から稼働データなどを収集してエッジ(機器側)で即時処理し、生産効率の改善などに役立てる。
だが、「顧客に価値が浸透しておらず、フィールドシステムがあるからファナック製品を買うとはなっていない」(ファナック社員)。山口社長も「今は産みの苦しみ」と指摘し、収益化には時間がかかるとみられる。
王者ファナックの模索はしばらく続きそうだ。
山口賢治社長のインタビューは週刊東洋経済プラス(2020年3月21号のスペシャルリポート)に掲載
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