同一労働同一賃金「うちは関係ない」は誤りだ 法改正で派遣社員の待遇は是正されるか
そこで、「そんな煩雑な手続きはできないし、派遣先が情報を出したがらないから派遣先均等・均衡方式を取るのは難しい」という派遣元については、「労使協定方式」という方式を選択できるようにしています。
これは、厚生労働省の職業安定局長が毎年6~7月に「派遣労働者専用の派遣労働者が従事する職種ごと能力ごとの賃金統計」(これを「職業安定局長通達」といいます)を公表するので、その賃金統計以上の賃金を派遣労働者に支払うことを定めた労使協定を組合または派遣元の全ての労働者の過半数を代表するものと締結することを求めるものです。
労使協定方式のメリットは、派遣先均等・均衡方式に比べて派遣先・派遣元ともに手続きが楽であること、デメリットとしては派遣労働者の賃金額を政府の賃金統計に基づいて定めなければならないため、派遣先によってはその賃金統計で示す賃金額が高く、労使協定方式では派遣労働者の賃金が高くなりすぎて受け入れられなくなる可能性があることが挙げられます。
このような労働者派遣法の改正ですが、派遣労働者の方にはぜひ知っておいていただきたいポイントが3つあります。
正社員として雇用されている派遣労働者も対象
2020年4月1日より改正労働者派遣法が施行されますが、派遣元事業主の中には「うちは、正社員として雇用している従業員しか派遣していないから、今回の労働者派遣法の改正は関係ない」と思われている方もいるようですが、これは間違いです。
今回の労働者派遣法の改正は、パートタイム労働者として雇用されている派遣労働者、有期雇用労働者として雇用されている派遣労働者はもとより、正社員として雇用されている派遣労働者に対しても適用されます。
したがって、正社員として雇用されている派遣労働者についても上記で説明したとおり、派遣先均等・均衡方式か、労使協定方式に基づいて賃金額を決定しなければいけません。
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