同一労働同一賃金「うちは関係ない」は誤りだ 法改正で派遣社員の待遇は是正されるか
今回の労働者派遣法の改正は2020年4月1日をまたぐ派遣契約についても4月1日から適用されることとなります。例えば、2020年3月1日~5月31日までの3カ月間の派遣契約を締結した場合、2020年4月1日から改正派遣法が適用されます。
よって、派遣労働者の賃金等は、2020年3月31日までは今までどおりの賃金額でいいのですが、2020年4月1日からは派遣先均等・均衡方式または労使協定方式に基づいた賃金額を支払わなければいけないこととなります。
多くの派遣元は煩雑な手続きを要する派遣先均等・均衡方式は避け、労使協定方式を採用することが予想されます。労使協定方式の場合、政府が示す派遣労働者専用の賃金統計に基づいて賃金を支払うのですが、この賃金統計には以下の3種類の賃金が示されています。
2 通勤手当
3 退職手当
労使協定方式の場合、これらの1~3のすべての賃金を派遣労働者に支払わなければならず、もし、どれか1つでも支払わない場合、労使協定方式は適用できません。
1の「一般賃金(基本給・手当・賞与)」については、派遣労働者の従事する職種ごとに賃金表(下記サイト)が示されていますので、その賃金表以上の賃金額を支払わなければいけません。逆にいえば、労使協定方式であれば、その賃金表の額以上の賃金が支払われていなければ、法律に反していることになります。基準となる賃金表は以下のとおりとなります。
退職金も支払わないといけない
2の「通勤手当」については、時給72円(月額1万2480円)以上の通勤手当をすべての派遣労働者に支払う必要があります。
3の「退職手当」については、「派遣労働者に適用する退職金制度を設ける場合」「退職手当を毎月の賃金額に含めて支給する場合(前払い退職手当を支給する場合)」「中小企業退職金共済制度に加入する場合」のいずれかの方法を取る必要があります。
今回の労働者派遣法の改正については、国が労働者の賃金額について介入するという面では、最低賃金を設定したとき以来の大きな法改正となります。派遣労働者の方で気になるようであれば、派遣元の担当者にどちらの方式で賃金が支払われることになるかを尋ね、4月からその水準の賃金がもらえているか、確認するといいでしょう。
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