ツアーにあふれた時代のスタディツアー 新しい自分との出会いを与えてくれる旅

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エコ・スタディツアーデスク所長の鮫島さんも、スタディツアーの多様な参加者の方々を生かす仕組みとして、以下のようにお話しています。

「スタディツアーに大事なのは、交流と振り返りです。交流することで自分が変わるし、交流した相手も変わる。マザーハウスであれば、バッグ作りで工場のスタッフみんなに影響を与えることが、参加者の方の価値になる。また、参加者同士でも振り返りを行うことで、同じことを経験しても、モノの見方や考え方が違うことを知ることができる。スタディツアーが提供できる価値は、自分の変化であり、社会の変化なのです」

バッグ作りも、最後にバッグお披露目会で振り返りを行う

聞いてみると、今回のマザーハウスの工場に来てくださった19人の参加者の方々も、夜にみんなで振り返りをしながら、互いの価値観を共有したり、夢を共有したりしているそうです。それがまた次の人生の転機に踏み出す一歩になるのだと思います。

旅にあふれた時代の新しい旅

最近、インターネットや書籍でも世界の秘境や絶景を集めたものがはやっています。もちろん、実際にその場所を訪れて見る、感じるというのは、ただ情報として画像を見ることとまったく違うものだとは思います。ただ、あまりに簡単に現地に行けて、世界の情報が取れるようになってしまった結果、旅の価値が下がっているのも事実です。そして旅に求めるものが、そこへ行って見るだけであれば、もしかしたら本当にバーチャルだけでも十分なのかもしれません。

でも実際には、旅に求めるものは観光地にただ行くとか、見るとかだけではありません。むしろ、人生について考えたいときとか、新しい転機になるきっかけがほしいときとか、自分が新しく変わりたいときに、旅はとても有益な手段になります。ご紹介してきたように、その旅の中でも、スタディツアーは自分を見つけるきっかけとなるような仕組みが内包されています。

旅にあふれた時代に必要な旅とは、旅本来の価値、つまり新しい自分との出会いを与えてくれる、そんなツアーなのではないでしょうか。みなさんも、日常を離れて自分をあらためて見つめ直す、そんな旅に出てみませんか?

山崎 大祐 マザーハウス 副社長

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やまざき だいすけ / Daisuke Yamazaki

1980年東京生まれ。高校時代は物理学者を目指していたが、幼少期の記者への夢を捨てられず、1999年、慶応義塾大学総合政策学部に進学。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年、大学卒業後、 ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。副社長として、マーケティング・生産の両サイドを管理。1年の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。

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