ツアーにあふれた時代のスタディツアー 新しい自分との出会いを与えてくれる旅

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女子高生から経営者まで同じツアーに集まる

実際に、マザーハウスの今回のツアーに参加された方を見ても、男女比は7:12。下は17歳から、上は57歳まで、女子高生もいれば経営者や先生もいる。バックグラウンドがバラバラな人が、「バングラデシュ」や「モノづくり」などのテーマの下で集まっていると考えると、ほかのツアーにはないスタディツアーの新しい魅力も感じられると思います。

そして、さらに参加者の方々にお話を聞いてみると、それぞれがさまざまな価値を求めて、このツアーに参加されていることがわかります。

マザーハウス工場のスタッフとともにバッグ作りを行っている下釜さん

参加者のひとり、下釜千鶴さんは、2回目のバングラデシュ。1回目は大学卒業前である4年前に、別のスタディツアーでバングラデシュに来ました。そのとき、フェアトレードを深く知り、いつかフェアトレードにかかわりたいという将来を考えるきっかけをもらったそうです。

「フェアトレードにかかわりたいと思っても、そのときには何をやっていいのかわかりませんでした。そして、4年間、違う仕事に就いてきましたが、やっぱりフェアトレードにかかわることを始めたい。仕事を辞めて始める覚悟があるかどうかを確かめたくて、今回、このマザーハウスのツアーに参加しました。

でもこのツアーを通じて、グラミン銀行のマイクロファイナンスで自立している女性を見て、そして、マザーハウス工場で生産スタッフと一緒にバッグを作ってみて、やっぱり自分から動かないとダメだと再確認しました。このツアーで自分の思いを再確認できました。日本に帰ったら、できることから始めようと思っています」

高校生の安達真央さんは、初めての途上国。ファッションもモノづくりも好きだけれども、それを何か新しい社会的価値に結び付けたいという思いを明確にしたいと思って、このツアーに参加したそうです。

「来てみたら、もともと抱いていたバングラデシュのイメージと違いました。活気があるし、みんな、とても人懐っこい。勝手な思い込みでバングラデシュの人は幸せじゃないのでは、と思っていたけれど、マイクロファイナンスの支援を受けている女性や、マザーハウスの工場のスタッフなど、やりがいを持っている人たちを見て、そのイメージは変わりました。この経験を消化して、また大学で何をやるのかを考えてみたい」

日本で縫製工場を経営する中林隆敏さんは、マザーハウスの工場スタッフの笑顔あふれる写真を見て、どんな工場なのかを見てみたくて、参加されたとのこと。

「一緒にバッグ作りをしてみて、実際にポケットの位置に満足できずにやり直す姿勢に驚きました。そこにまったく妥協がない。自分が担っている日本のモノづくりにおいても、もっと妥協しないモノづくりをしなくちゃいけないと感じました」

同じ体験をしているにもかかわらず、それぞれの人生のステージや価値観によって、こんなにも見方が違うこと、そして、そんな方々が同じツアーに参加されていることこそが、このスタディツアーのいちばんの魅力だと思います。

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