(1) 信用度が低い会社も含めて米企業が社債を発行する
(2) 低信用度の社債を金融機関がCLO(担保付ローン証券)に編成して販売する
(3) CLOは低金利で運用難の金融機関(日系を含む)が買う
(4) 企業は調達した資金を自己株買いに使い株価を上げて株主に報いる
(5) ついでにストックオプションを持っている経営者も儲かる
この構図は、企業の経営者、金融機関、機関投資家の3者が「当面」儲かるので歯止めがかかりにくい点で、強固なバブル形成プロセスといえる。
住宅資金を借りられるなら家を買おうと思うサブプライム(信用度が劣る)住宅購入者、証券化で儲かる金融機関、証券化商品(当時はCDO(担保付負債証券))で利回りを稼ごうとする機関投資家やトレーダー、というリーマンショックに至ったバブルを形成した当時の構図とよく似ているのだ。
証券化商品で商売する金融機関と、それを買う機関投資家が、共に他人のカネを扱っていて当事者個人は無責任でいられる点は前回と同じだ。ぐっちーさんなら、金融機関に対して、「CLOって、あたしが昔売っていたCDOと同じやつだろ。あんたら、進歩ないねぇ」と言って高笑いするところだろう。
負債の作り手は「悪い意味で有能な」企業経営者
だが、今回、少し違うのは、負債の作り手が、返済ができなくなったら担保の住宅を取られる経済的に余裕のない素朴な(?)一般個人ではなく、自分の財産(主に自己株やストックオプションによる)と地位のためには取りうる手段を総動員して稼げるうちに稼ごうとする「悪い意味で有能な」企業経営者である点だ。今回の方が、よりたちが悪いように見える。
もちろん好調な経済が背景にあったのだが(一部は株高のおかげだ)、この構造のおかげで、アメリカの社債バブルが起こり、その副産物としてアメリカの株価が大いに上がり続けていたのだろうと、筆者は考えている。
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