「ほら、私が言う通り、バブルが崩壊しているのですよ!」とオバゼキ先生はおっしゃるかも知れないのだが、筆者は、この強固なインセンティブ構造(欲望のトライアングル!)を思うと、このバブルがそう簡単に崩壊してリセットされるようには思えないのだ。まだまだしぶといのではないだろうか?(もっとも、この考えに、予想としての自信はない)
かんべえ先生の心配とは?
さて、この連載のいい点は、筆者達が(編集者も含めて)ゆるく相互に意見(普段は競馬の予想と感想なのだが)を交換しながら原稿を書いている点だ。
今回の暴落について、かんべえ(吉崎達彦)先生からメールで有益な示唆を頂いた。コロナもさることながら、原油価格の下落が重要で心配なのだという。
株価の影に隠れているが、原油価格の下落も凄まじい。世界景気の減速観測に加えてサウジアラビアとロシアの交渉決裂による減産合意の不成立が大きく響いている。
原油価格下落は、産油国にとってダメージであることと、日本のような原油輸入国にとってはプラスの効果があることを想起させる。だが、原油価格下落の金融的な影響まで考えた場合、必ずしも日本にとってはプラスと言い切れない。
金融市場として恐ろしいのは、原油価格の下落が、アメリカのシェールオイル業者のデフォルト(債務不履行)をもたらす可能性があることだ。この場合、他の社債のクレジット・スプレッドが一気に拡大して、今まで社債で資金調達ができていた企業の資金繰りが付かなくなる公算が大きい。サブプライム問題の際にCDOが暴落・デフォルトしたように、CLOが暴落する。この状況は、単なる株価の下落よりも金融システムを揺るがす金融危機に至る可能性が大きい。
加えて、財政構造が脆弱な産油国の国際金融的デフォルトが起こる可能性も拡大している。
金融に対する危機としては、コロナ問題をきっかけとした株価の下落よりも、こちらの方が「本丸」である可能性がある。かんべえ先生のメールの味わい深い一節を引用しよう。
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