「ブレスト」と「井戸端会議」の決定的な分かれ道 まずは「主催者」「参加者」を明確にしよう

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主催者はブレストをしていてアイデアが行き詰まりかけた際には、視点を変える問いを投げかけたり、休憩を入れたりする。また、つい否定的な発言が出れば、明るく注意を促すのも主催者の役割だ。もちろん主催者も、ほかのメンバーのアイデアに触発されて、どんどん発言し、ブレストを盛り上げるのはいいことだが、場を仕切る役割を忘れてはならない。

「主催者を決める」というと、課やチームでのミーティングなど組織的に同一のメンバーで行う場合には、主催者は不要ではないかという質問を受けるが、私は、主催者を決めない、仲良しグループの井戸端会議のようなブレストを何度も目にした。誰にも責任がないので、ダラダラとゆるい会話が続く。誰も自分の役割と責任を認識していないので、誰も仕切らず、アイデアを出そうにも真剣味がないのだ。

また、ブレストで参加者全員が目からウロコが落ち、思わずうなるようなアイデアが出ればいいが、そこまでのものが必ず出るとは限らない。その場合、優先すべきは主催者の満足だ。主催者にとって現状を打破できるアイデアやヒントになるアイデアが出ていれば、それは十分満足できるブレストとなる。それを決めるのは、主催者だ。

4. アイデアを取り入れるかどうかは主催者が決める

ブレストを行い、多くのアイデアが出る。そのアイデアの中からどれを取り入れるのか、取捨選択の判断も主催者が行う。この考え方が共有されていないと、不満の声が上がることがある。

「あの人は、私があんなにいいアイデアを出したのに、結局、使わないんだよね」

これは本末転倒だ。そういうことを言う人は、ブレストに呼ばないほうがいい。呼ぶとその人の意見を使わざるをえなくなり、適切な判断ができなくなるからだ。

参加者は自分の出したアイデアが使われるか否かにかかわらず、主催者のためになると思えるのなら、どんな些細な意見でも、突飛なアイデアであっても、臆せずどんどん出す。

ディスカッションは、意見を集約して結論を出すことを目的にしたものだが、それに対して、ブレストはアイデアの拡散である。だからこそ自由にアイデアが広がっていく。何を拾うかは主催者の裁量であるべきだ。アイデアを採用するかしないかは、恨みっこなし。参加者はそのようなスタンスで臨まなければならない。

ブレストの価値とは?

ブレストの価値は、同一組織やチームを越えて、違う部署の人に参加してもらえるようになるとさらに高まる。視点の違う人たちに「実はこういうところで行き詰まっているのです。知恵を貸してください」と相談することができるからだ。所属する部署を越えて、さまざまな人にアイデアをもらえる関係が成立している人は強い。

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また、そのようなことが自由に行える会社は強い。実際に私も仕事をするうえで、他部署の方々の知恵を借りるブレストを開いたこともある、また、私がアイデアを出す側として、他部署の人に呼ばれることも多かった。

最先端のアイデアや企画が求められる職場では、自分だけで考えていても、斬新なアイデアは簡単には見つからない。新しい価値を生み出すためには、他人の脳を借りる必要がある。そのようなときに、ひと声で支援者が集められ、知恵が集まる仕組みがある会社は強い。

自分のキャパシティーを超えていると感じたとき、積極的に他人の脳を使うことができる効果はとてつもなく大きい。特に新しい何かを生み出すような仕事では、ブレストを上手に使えるかどうかで、成果に天と地ほどの差が生じると考えていいだろう。

松岡 保昌 モチベーションジャパン代表取締役社長

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まつおか やすまさ / Yasumasa Matsuoka

人間心理にもとづく経営戦略、組織戦略の専門家。1986年同志社大学経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長を歴任。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長としてCIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。

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