「ブレスト」と「井戸端会議」の決定的な分かれ道 まずは「主催者」「参加者」を明確にしよう
意見に対して揚げ足取りのような指摘を禁じ、自由にものが言えない雰囲気をどのようにして解消するかも重要である。例えば、わざと役職ではなく「〇〇さん」のように呼び合うことをルールにしたり、あえて職場ではない場所でブレストを行ったりと、「非オフィシャル感」を演出するような雰囲気づくりも効果的だ。
ブレストで失敗するのは、いつの間にか意見を否定する方向に流れることだ。
「今の話は、たいして面白くないのでは?」
「それってイマイチだよね」
こうした否定的な空気が流れると、意見を言いにくくなり、出るアイデアの幅も確実に狭くなり、常識的なものや、現状の延長にすぎないものばかりになる。
人は新たなアイデアを思いつくより否定するほうが楽だから、意識しないと否定する方向に走りがちだ。アイデアが出ず、発言がなく、会議に参加できている感じがしないと、自分の存在感を出すために無理して発言するようなパターンも少なくない。そして、否定は連鎖して、無意識に否定的な発言が次々と生まれやすい。
何より否定されると、人は萎縮してしまい意見を言わなくなる。参加者の誰かがひと言でも否定の言葉を口にした瞬間に、ブレストを殺す。もしも否定的な発言しかできないのなら、そのようなタイプの人は、ブレストに呼んではいけない。
アイデアに行き詰まった結果、漠然と「ブレストでもしますか」と始めることも少なくないのではないだろうか。何となくアイデアや意見を出し合うようなケースだ。
だが、ブレストがうまくいくためには、「誰のためのアイデア出しなのか」をあらかじめ明確にすることが重要である。つまり、ブレストの主催者が存在するべきなのだ。そのブレストの主催者がリーダーシップをとる。もし、主催者がいない状態でブレストを行うと、出口もなく、アイデアの取捨選択もできない。
主と従を明確にする、ブレスト前のあいさつ例
主催者の存在を理解してもらいやすいように、理想的なブレストを始める際のあいさつを紹介する。
このように主催者が言うことで、主と従が明確になり、それぞれの役割と責任が明確になるのだ。主催者には、そのブレストの会議を取り仕切る責任があり、参加者には、「支援者」としてとにかくアイデアを出すという責任がある。だから、主催者が全体をリードする。ブレストの場をつくり、「心理的安全性」を確保し、会議の価値を高める責任は、主催者にあるのだ。
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