派遣法改正は詰めの段階に、ヤマ場を迎えた労働政策審議会
派遣規制の大幅強化はこうした動きを後押しする恐れもありそうだ。経済界には「派遣を極端に厳しく規制すれば製造業の空洞化が進み、雇用情勢をかえって悪化させかねない」との声が強く、エコノミストからも同様の懸念が示されている。
これに対し、連合の関係者は「日本企業が高品質な製品を作り出してこれたのは人材育成に注力してきたためだが、製造業の派遣労働者は長年働いても技術が身に付かない。企業内で技能が十分に伝承されなくなり、中長期的に競争力自体も弱めてしまう」として、規制強化の必要性を強調。「派遣労働が社会問題化したことを真摯に受け止めるべきだ」とも主張し、民主党の最大支持母体として同党と足並みを揃えようと努めている。
ただ、傘下の有力な産業別労組からは急激な規制強化に反対論も出ており、内部は決して一枚岩ではないのも事実だ。
労働政策審議会の審議は今後ヤマ場を迎えることになるが、製造業派遣のほか登録型派遣や直接雇用みなし制度など焦点となるいずれの論点でも、労使の主張はこれまでのところかみ合わないままだ。それでも労働者の権利と経済活性化を両立させる結論を、最終的に導き出せるのかどうか。
審議会の結論が労使双方の両論併記にとどまり、合意が得られなかったにもかかわらず、労働者派遣法の改正を強行すれば、「労使への諮問を経た上で決定するよう定めた国際労働機関(ILO)条約に違反している」との批判が出るのは確実だ。
また、派遣社員が働く場はメーカーの製造現場に限らずさまざまな職種に広がってきただけに、同法改正をめぐる詰めの協議が注目を集めることは間違いない。
(東洋経済HRオンライン編集部)
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