派遣法改正は詰めの段階に、ヤマ場を迎えた労働政策審議会

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連合幹部は最近の動向に関して「自動車メーカーは期間社員、鉄鋼は請負社員に切り替えをそれぞれ進めている」と話しており、生産の回復傾向が今後持続したとしても、大企業中心に派遣労働者の受入数は減少が続く可能性が高そうだ。

ただ、企業は派遣社員に直接指揮・命令できるのに対し、請負社員にはできない。請負では派遣のように受注状況に応じて臨機応変に対応するのが難しいとされ、エコノミストからは「コストアップ要因であるばかりか、景気が回復してもメーカーは利益を逸することが多くなる」との指摘が出ている。

期間社員は受け入れ企業自身が直接雇用しなければならないため、派遣のように中小企業が活用するのは難しいと言われ、ある経営者は「派遣規制が強化されれば、中小ほど悲惨な状態に追い込まれる」と強調。民主党のマニフェストは製造業派遣禁止の例外として「専門職制度」の新設をうたっているが、中小企業の団体からは「必要とされるのはロースキルの労働者が多く、専門職に当てはまらない」との声が漏れる。

労働者派遣法が制定されたのは1985年。契約上では請負の形を取りながら、実態は発注企業が指揮・命令を下す「偽装請負」が当時から問題化し、派遣容認により解消することが期待されていた。

労働問題に詳しいある大学教授は「時代の変化に合わせた日本の雇用制度全体の見直しは必要だが、派遣規制の大幅強化だけ先行させれば、偽装請負が中小企業などでかえって急増する可能性がある。労働者の権利もないがしろにされ、昔に戻っただけで終わってしまいかねない」と懸念する。

派遣規制強化で雇用情勢はかえって悪化

自動車、電機などでは、人口減少で市場縮小が続く国内や金融危機が直撃した欧米諸国に代わり、発展目覚ましいBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国)に今後の活路を求め、経営戦略の練り直しを進める企業が多い。円高傾向も当面続くとみられ、輸出産業が巨大市場と低賃金の両方を求め、中国をはじめ新興国に製造拠点を移す動きがこれまで以上に進展する可能性は確実に高まっている。

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