宅配業者がドライバーの「独立支援」を急ぐ事情 佐川、ヤマトからドライバー流出のケースも

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1日に運ぶ荷物を詰め込んだリース車両。荷物は車内の天井まで達しており、20代後半の男性ドライバーは「(企業が終業する)17時半までに運びきれるかな」と少し不安げだった(記者撮影)

SBS即配サポートの独立制度を利用すれば、社員ドライバーと月収がほぼ変わらないうえに、社則などに縛られず自由度が比較的高い働き方ができる。また、普通自動車運転免許さえあれば軽車両での配送ができることや、「BtoC向けEC配送は軽くてきれいな荷物が多い」との印象があることも、応募が増えている要因になっているようだ。

アマゾン向け配送で急成長する丸和運輸機関も、委託ドライバーの支援を強化している。2017年9月頃から始めた「Momotaro・Quick Ace(桃太郎クイックエース)」と呼ばれる独立支援制度では、委託ドライバーの所得の約6割を補償する「所得補償保険」を2019年4月に導入した。

委託ドライバーはケガや病気などで働くことができないと収入がゼロになってしまうリスクがあるが、その際に一定期間、月収の約6割を丸和運輸機関が補填する。「保険でリスクをカバーすることで、ドライバーが安心して働ける環境を作りたい」と、丸和運輸機関の和佐見勝社長は強調する。

丸和運輸機関では、現在400~500人ほどが委託ドライバーとして就業しており、その多くは20~30代のドライバーだ。平均年収は720万円だという。丸和運輸機関では2023年3月期までに5000人の委託ドライバー確保と、意欲的な目標を掲げている。

起業して運送会社の社長に

独立支援制度を通じて、法人を立ち上げたドライバーもいる。丸和運輸機関の委託ドライバーとして7カ月間活動した奥住亨介氏は、2017年12月に自身の運送会社である合同会社FIVE STARSを立ち上げた。現在、同社の年商は1億円を超えており、25人のドライバーを抱える。委託ドライバーとして働いた経験について奥住氏は、「1日に平均して120~150個ほど配送した。独立支援制度を通じて、十分な開業資金を貯めることができた」と話す。

今後も市場拡大が見込まれるEC向け荷物は、大手宅配会社も確保したい思いがある。ただ、軽車両で運ぶことができるEC向け配送は、宅配業者の参入障壁が低く競争も激しい。できるだけ配送料を抑えたいEC事業者の意向もあり、そういった荷物を獲得するには配送単価が低くなりがちだ。

日本郵便の衣川和秀社長は、2月に行われた共同インタビューの場で「荷物の小型化が進む中、ゆうパケットの取扱個数を伸ばしていきたいものの、デリバリープロバイダなどはわれわれにはできないような低価格で荷物を引き受けているようだ」と語っている。

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