働かないオジサンの定年後は、寂しい
サラリーマンは、社会と直接つながっていない

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会社を辞めてから何をするのか?

厚生労働省によると、男性の平均寿命が初めて60歳を超えたのは、1951年のことである。当時の定年が55歳だとしたら、引退後少しゆっくりすると、お迎えが来るというイメージを持つことができた。

ところが最近は、男性の平均寿命は80歳に達しようとしている。60歳で退職しても、20年以上が目の前にある(60歳男性の平均余命は83歳)。およそ半世紀余りの間に、約20年寿命が延びている計算だ。

「定年後の20年の時間を自分で埋めるとすると大変だ」「人生が80年なら、残る人生で、もう1回勝負できるかもしれない」など、人生80年を意識している人が当たり前になってきた。ただ、80歳まで生きることはイメージしていても、その間をどう暮らすかまでは、具体的に考えが及ばない人が多いように思える。平均寿命の伸びがあまりにも急激だったので、意識や生活がそれに追いついていないのだろう。

数年前、私が勤務する会社の退職金・年金制度の大幅な改正があったときに、50代後半の同期が集まったという。そのときには、定年を待たずに退職すると得か損かの議論で大いに盛り上がった。ところが「それでは辞めて何をするのか」の話題になると、急にその場は静まりかえったらしい。

平日の図書館では、定年を迎えたとおぼしき数人の決まった顔ぶれのオジサンが、新聞を読むために朝の開館を待っているという話を聞いた。

私は、活力にあふれ、社会と密接にかかわるシニアの増加を目指すNPOで講演したことがある。講演後の食事のときに、そのNPOの幹事の方が、「定年になって半年間何もしないと、そこから立ち上がるのが大変になる。私もこのNPOに参加して救われました」と話していた。

会社を退職しても、次のステップが見えずに立ち止まったままの人が多いのかもしれない。会社の仕事中心の生活から、成熟した人生への切り換えが求められているともいえる。

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