若者が得たセックスの自由は大事にしていい 湯浅誠×瀬戸内寂聴 リベラル対談(後編)

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──最後に、これからの日本を担っていく若い人たちに向けて、何かメッセージをいただけますか。

瀬戸内:やっぱり勉強しろっていうことね。あまりに勉強しなさすぎるんじゃない。それと本を読めってこと。私の若い頃なんかね、デートをすると、男の子は必ずポケットに読みもしない岩波文庫の哲学書を持っていたものですよ。

湯浅:見栄で(笑)。

瀬戸内:そう。だけど、それを見たら女の子は、「この男の子はステキ」と思うの。だから、せめて見栄でもいいから哲学書ぐらい持ってください。本当に今の若い子は本を読まないですね。

湯浅:岩波文庫は読まないけど、持っているのがカッコいい、本を読むのがカッコいいという空気があった、と。

瀬戸内:それをまた女の子がカッコいいと思う。それが今はないです。ただし、今の若い人たちが得た自由は大事にしていいと思うの。セックスなんか誰としたってかまわないんだから。自分がすることに責任を持てばいい。

──(笑)湯浅さんは何かメッセージはありますか。

湯浅:今、とてもいいヒントをいただきました。勉強したり、社会のことを考えたりすることが、男性として、女性として魅力的だという世の中の雰囲気を作っていくことが大事ですね。投票に行くほうがカッコいいとか、国会でどんな法律が審議されているか知っているほうがカッコいいとか。そうなると、みんなそうしたくなる。

震災直後は、がれき除去のボランティアに行くことが、ちょっとカッコいいことだったのではないですかね。それをもっと広げて、今は被災地の対人支援が重要になってきていますけど、おじいちゃん、おばあちゃんとじっくり付き合う中で、元気になっていくのを見届けることはカッコいいとか、社会について意見を言えることはカッコいいとか、そういうムードを若い人たちに作ってほしい。そう言うと他人事みたいだから、私も一緒に作っていきたいです。

瀬戸内:青春は恋と革命だ! 若い人は恋をしないとダメよ。恋をしたら自分をもっとよくしようという気持ちになるでしょう。

湯浅:相手に好かれたいですからね。

瀬戸内:革命というのは、何も国を変えるような大きなことだけじゃなく、自分の日々の生活でもできます。何かを変える、新しいことをやる。若い人は恋をして、いろいろな革命を起こしていってほしいですね。

(司会:伊藤崇浩、構成:上田真緒、撮影:尾形文繁)

湯浅 誠 社会活動家、法政大学教授

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ゆあさ まこと / Makoto Yuasa

1969年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。2009年から足掛け3年間、内閣府参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長など。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。現在、朝日新聞紙面審議委員、日本弁護士連合会市民会議委員、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」レギュラーコメンテーター。2014年度から法政大学教授。講演内容は貧困問題にとどまらず、地域活性化や男女共同参画、人権問題などにわたる。著書に、第8回大佛次郎論壇賞、第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞した『反貧困』のほか、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』など多数。

 

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