資格を取ると貧乏になる?驚愕の資格地獄 弁護士、公認会計士が、まさかの貧乏まっしぐら

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弁護士の5人に1人が生活保護受給レベル

たとえば、司法試験。政府は法科大学院(ロースクール)を立ち上げる際、「法科大学院を修了すれば、7~8割は弁護士になれます」とアナウンスしたにもかかわらず、その約束はただの1回も守られることはありませんでした。

法科大学院修了生の司法試験合格率は下がり続けています。2007年は40.2%でしたが、年々減り続け、2012年は25%でしかありません。

「合格率がローすぎるロースクール」なんて自虐ギャグが、ロースクール生の間ではやるほどです。

しかも、法科大学院修了者が司法試験を受けられるのは、「大学院を修了して5年以内、3回まで」と決まっていたので、「三振」すると司法試験受験資格を失います(2015年の司法試験から5回までに緩和される予定)。よって、「受け控え」をしている数多くの“浪人”が存在。一方で、三振してしまった「三振博士」たちの行く末は、「よくて塾講師、普通でフリーター、悪くてニート」と言われるありさまです。

しかもロースクール生は、奨学金という借金を重ねて勉強している人が多いため、金銭的にも苦労を強いられます。かつては給付制だった司法修習を自腹で乗り切らなくてはいけません。

ようやっと資格を取っても、今度は就職問題が待ち受けます。取材した弁護士は、「たとえ司法試験に合格しても、大手事務所に入れるようなエリートは、『上位7校で成績10番以内、英語が達者な20代の男性』ばかり」だと言っていました。

大手事務所に入れなくとも、せめて中小事務所の軒先を借りる「ノキ弁」になれないかと就職活動をしても、すげなく断られる若手が多く、そのため、何のスキルも実務経験もないのに、自宅でケータイひとつで即、開業せざるをえない通称「ソクドク(即、独立)のケー弁(ケータイ弁護士)」が続出しています。

仕事もないのに奨学金の返済はしなくてはいけませんから、彼らの最初の仕事は「自分の自己破産処理」なんてブラックユーモアがささやかれるほど。実際、5人に1人の弁護士の年収は、年間所得が100万円以下と、生活保護受給レベルにまで落ち込んでいます。

それでも、「3~4年前までは、状況はまだマシだった」と多くの弁護士は口をそろえます。なぜか? 経験のない若手弁護士にも「消費者金融への過払い金返還請求や債務整理」の仕事があったからです。

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