資格を取ると貧乏になる?驚愕の資格地獄 弁護士、公認会計士が、まさかの貧乏まっしぐら

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この仕事は、消費者金融に通知を送り、返済記録を取り寄せ、利息制限法に従って手直し計算して、過払い分を請求する簡単な「事務仕事」です。しかも、請求しさえすれば必ず勝てたといいます。だから、若手は先輩弁護士からこうした仕事を請け負うことで、糊口をしのぐことができました。

ところが、2010年に消費者金融大手の武富士が事実上倒産。この時期から、過払い金返還の請求が困難になったうえ、規制緩和の波に乗り、司法書士が過払い金返還請求の仕事に“進出”。

弁護士よりより安い報酬で、140万円以下の過払い金返還請求を代行することにより、弁護士の仕事を次々に奪っていきました。

こうして、過払い金返還請求の仕事をメインにやっていた若手弁護士の多くは、仕事を失ったといいます。

では、その後、「過払い弁護士」たちはどこにいったのでしょうか。

私が取材した限りでは、福島に渡った人も多い印象です。

東京電力を相手取った集団訴訟案件のために福島の仮設住宅を回る弁護士や、新領域「ADR(裁判外紛争解決手続きおよび裁判外紛争解決機関のこと)」に注目する弁護士といった“進路”が見受けられました。

特に、原子力損害賠償紛争解決センターの調査官には、100人単位の若手弁護士が流入していると聞きます。それでも、過払い金返還業務の人材吸収力には、比べるまでもありません。

また一時期、不動産の大家さんに店子が「過払い敷金」を返還請求するよう促す弁護士もチラホラいましたが、このテーマは今いちブレークしませんでした。

したがって、今もなお過払い金返還請求業務にしがみつき、貧困に悩む人が多い沖縄に渡って、過払い金返還請求の講習会をやって仕事を取る弁護士も見受けられます。

公認会計士も仕事がない!

公認会計士も、弁護士と似たような状況下にあります。

公認会計士も「規制緩和」や「事前規制社会からチェック社会へ」といった新自由主義的な掛け声に乗って、資格取得者はこの10年で約2倍に増えました。ところが、肝心の仕事は政府の思惑どおりには増えなかった。

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